12・潜入の日

ざっくり言うと白井3兄妹の経験した半年間と比べると、彼らは豊富なはずだが。
実際の戦闘経験は、今回が初めてだ。
正規軍の網目を潜り抜けるのも困難なのだ。

しかし、ここでネガティブな過去を振り返っても何も起きない。
限られた人数でも、この正念場を乗り越えなければならない。
ジェームズは宇宙船で志願兵達の動向を見守りながら、マイクを握って彼らを叱った。

「焦るな!ビーム兵器の届きにくい離れた地点へ行け!
合体してから仕返しすればいい!」
『ですが少佐!土星や金星の人達は…。』
「彼らはプロだ!しばらくは時間を稼いでくれる!先に合体に集中しろ!』
『わかりました!』
志願兵達はハキハキと返事した。

その後、志願兵達が乗るジェット機が距離を離すように後退する。
ビーム兵器の攻撃が届きにくい位置に来ていた。

『チーム1、コードS、始動!』
紺の機体に乗る女性の志願兵が号令を下す。
同意で深緑と茶色の機体の者達が繰り返した。
深緑、茶色の2機が横に並び、その上に紺のジェット機が乗った。
正面側から見ると、紺の機体を頂点にした三角形ができあがる。
『乗った』という表現だが、実際ジェット機同士は間隔を空けていた。

正面側と背面側に、三角形のラインが激しく点滅する。
3機のジェット機全てが光出した。
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