12・潜入の日

『子供達!早くジェット機に乗れ!攻撃はビームだけじゃないぞ!』
この宇宙船の艦長として率いるアレックスさんの放送だ。
ペンダントもしくは腕時計の転送装置にも放送が聞こえてくる。

「大丈夫か?」和希兄ちゃんが言った。
兄ちゃんにケガはなく、立ち上がれそうな感じだった。
私と勇希兄ちゃんが負傷したのかって話には、なっていない。
そもそも3人で一緒にいて、ここで宇宙の外を眺めていた。
宇宙に出てからのショックは、今起きている揺れしかない。

「大丈夫だよ。」「俺も。」
「なんとか立てるか?」
「手すりみたいな取っ手があるから、なんとか…。」
また宇宙船が揺れた。
備え付けのイスの下に手すり型の取っ手があり、そこを掴む事で私達は立ち姿を維持できた。
イスは元に戻していた。

「飛ぶぞ!このままだとクーランに挑む前に壊滅する!」
「その方が早いわ!」
「俺も今やろうとしてたぜ兄貴!」
緊急時は息ピッタリになりやすい。
方向性が同じだから尚更である。

既にペンダント、又は腕時計の[転送装置]は胸元に、腕に定着していた。
パイロットスーツは既に着用しているから、[転送装置]で乗り込めば、発進の準備は整う。

これで武人兄ちゃんを取り戻したら、[ラストコア]とはおさらばだろう。
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