11・包囲の日

静かに、と西条司令が小さな混乱を抑えた。
「君達の意見はわかる。だが今回の兵士達は自らの志願でここに立っているんだ。今までの訓練兵は、忘れてほしい。
代表者に交代する。皆、聞いてあげてくれ。」
ジェームズさんは横へずれていき、中心から後退した。
若い女性が中心に立った。
敬礼!と女性の号令で、若い人達全員が私達に構えを取っていた。
中心に立つ女性の挨拶が始まった。

「私達はジェームズ少佐のおっしゃる通り、自らの意志でここに参りました。
今まで参戦が不可能な状態が続いたのは、正規軍の統制に問題点があったからです。」
「それ、言っていいのか…?」
勇希兄ちゃんが首を傾げた。
気持ちはわかる。女性の今の発言は、正規軍?の秘密をバラしている行為と同一だから。

「大丈夫や。臨時支部も海底で、ここは日本やない。正規軍は嗅ぎつけれる程能力ないし。」
「その通りです黒川隊長。」「認めてどうすんだよ!」
またスゴい人達に会ったなあ…。

「正規軍は[ラストコア]について、悪い風潮のみ拡散していました。極悪人を寄せ集めた、活動内容が不明な集団と。」
またざわついた。
スタッフ達の厳つい表情を見れば、理由は一目瞭然。
正規軍の人達が自分達を馬鹿にしているらしいから。
悪口を浴びせられた側なら悲しくなるのは当然だ。
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