11・包囲の日

幾らかの人々は、モニター画面越しでミーティングに参加しているから、寿司詰め状態にはならなかった。

「宇宙進出の事前準備に忙しい最中、臨時で集まっていただいて申し訳ない。」
集団の真ん中に立った西条司令が頭を下げた。
司令も激務に追われているのを皆知ってるので、何も言わなかった。
「宇宙進出…行き先は火星圏タレスに決定している。
土星圏の離れた商人、ビウスの残存兵から敵の本拠地を特定した。
開始時期は1週間後に設定する。
3日前には準備完了しておくように。」
はい!と司令の周りから大きな返事が聞こえた。
もちろん、私達も一緒に返事をした。

「次に紹介に移ろう。新しい仲間達だ。
ジェームズ、前に出てくれるか?」
「わかった。」
ジェームズさんが前に出て歩くと、後ろから若い人達もついてきた。
キリッとしてるまではいかないけど、若い人達の歩く姿勢は綺麗だと感じた。
整列の時も同じで、隙間の間隔も均等に見えた。
若い人達の先頭に、ジェームズさんが立った。
「諸事情が重なり、遅れてしまった事をお詫びする。
正規軍から何名か、兵士を引っ張ってきた。」

すぐにスタッフ達がざわついた。
私達3兄妹は意味がわからなかった。
側で武人兄ちゃんが言ったのだ。
「君達が来る前に色々あってやな…。」
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