11・包囲の日

宇宙船は横向きへチェンジ。シートと同時に私達の足場も変わった。
壁だった物が、床として利用する事になった。

シートから降りていいとの指示が出た。
ベルトを外して、シートから離れた。
同じ乗組員さんが案内してくれた場所があった。
宇宙船の外が拝める通路へと向かった。通路の壁には窓があった。
当たり前だけども、私達は衝撃を受けていた。

地球の外観を眺めるのは、本か科学館でしか出来ないだろうと勝手に思っていた。宇宙飛行士じゃない普通の人には無理だろうと。

それが実現できているんだ。
今、私達兄妹は宇宙から地球を眺めている。
宇宙船の窓から眺める巨大な惑星は、青く輝く宝石のようだった。

「綺麗…。」
私はこの一言しか出なかった。
それほど私達の住んでいる地球は美しかったんだ。
「貴重な光景だから今のうちに目に焼き付けるんだ。」
乗組員さんの言う通りだ。肉眼でじっくり見れる機会は、二度とないかも。
武人兄ちゃんを取り戻したい気持ちが今、強く思うようになった。

私の不安。
実は彼が今回の戦闘で、消えてしまうかもしれない事。
消失したら、彼は地球に帰れなくなるだろうから。
消えそうになる前に、間に合ってほしい。
私は両手を繋ぎあわせて、祈った。

☆つづく☆
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