11・包囲の日

「ざっと、10人強だな…。」
「ビウス隊よりもかなり少ないな。」
「正規軍の規制がガチガチに固定されていたんだ。彼女に裏道を辿ってもらうように依頼したがな。」「彼女は…作家だったか。」
「まだ収穫のいい方さ。機体は余るかもしれんが。」

ジェームズはオペレーターの挙手を発見した。
挙手はトラブルの合図。
ジェームズは小走りで該当オペレーターの側に駆けつけた。
宗太郎のみ作業風景を見守る形になった。

(土星圏の有志達とビウス隊の残存兵の協力で、戦力はかなり増強されてきたが…。クーランの戦力が…今の今まで把握しきれていない。)
宗太郎は額に手を当てていた。
(偵察用の衛星は幾度も飛ばしている。
解析作業も万全の筈だが…いつも発生時のみしか情報が掴めない。
タレスの位置も、黒川の言った研究所も特定はしているが…。)

「すまん宗太郎。」
宗太郎は顔を上げた。ジェームズが手招きの動作をしていた。
宗太郎もすぐに近くへ向かった。
宗太郎の今の役割は、ジェームズでも対応できない最悪の事態への処置であった。
どうした、と尋ねる宗太郎。
ジェームズはオペレーターのPCを指差した。
1人の外交官がカメラに向けて怒りをぶつける姿があった。
オペレーターは女性で、怒り狂う男性に怯えていた。
泣き喚くまで酷くないが。
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