11・包囲の日

土星圏の人達以外からも声があがった。2人の兄達からだ。
「早くアイツらから武人兄ちゃんを取り戻そうぜ!」
「俺達は準備できてます。今から急いで搭乗しても構いません。」
次に王子達。
「すぐに側近兵に連絡します。司令は命令を。」
サレンさんは既に走り出していた。
「私達は来て間もないですが、黒川さんは現在の地球に不可欠な存在です!私達にも是非!」
志願兵の代表者が言った。
「護衛できなかったお詫びとしても、我々はお供いたします。
ビウス様もあなた方に託しております。」
残存兵の1人が言った。

ジェームズさんは落ち着け、と沈静化を促した。
彼の1歩下がった位置で、西条司令は黙って聞いていた。

ようやく、司令の口が開いた。
「…わかった。予定をかなり早めるが、宇宙進出を今すぐ実行しよう。」「少し待て!アレックスらに調整完了か…。」

『いつでも乗れるぞ。ロケットに。だからパーティーに参加したんだ。』
3つ目の通信回線が開かれた。
いや、違うかも。その理由は司令とジェームズさんの話でわかるから。
「アレックス!回線は…」
『一応ミュート設定で聞き流していたよ。司令、一か八かの賭けになるが、今すぐ叩きに行こう。
ズルズル引っ張ると、黒川の身に変化が起こる可能性がある。』
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