11・包囲の日

リュート王子とサレンさんも含め、皆顔を上げていなかった。
ジェームズさんの怒りを鎮めたのは、隣にいた西条司令だった。
彼はジェームズさんの肩に手を置いて言った。

「もうよせ。責任の押し付けは無駄だ。私の油断が招いたのだ。
[宇宙犯罪者]の気配がないと思い込んでいた…。」
ジェームズさんはぐっ、と堪えた。
彼もまだ言いたい事はあったようだけど、上の人に止められたら黙るしかない。

「クーランの所以外にも、[宇宙犯罪者]は存在しているんだ。
黒川には護衛を拒まれたからな。
せめてアイツにバレないように護衛をつけるべきだった…。
すまない。」
西条司令は謝罪の礼をした。
土下座まではいかなかったけど、頭は低く下げられた。

ここで土星圏の人達の手があがった。
よろしいでしょうか、と一言添えて。
「HRは基本、単独で行動する者は少ないです。あるとすれば、一部の尖った能力の持ち主のみ。金星の人も集団で襲撃したでしょう。」
「《同調性》ですね…。」
「今までそれで、生き延びてこられましたので。ビウス様のような首領レベルでしたら判断力はつきますが…。」
王子がHRの特性を1つの単語にまとめ、残存兵達は否定しなかった。

「考えられるのは、クーランの手が延びていない[犯罪者]が、原始地球を襲わない事です。」
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