11・包囲の日

★★★
武人…『ラルク』を捕獲した檻の動きが止まり、屋上の『敵』達は全員飛び降りた。
黒髪の少年達が屋上から飛び降りる姿を見て絶句する一般人は多いだろう。
しかしこの日の住人は既に人払いされており、目撃者はいなかった。

少年達…見た目はそうだが、中身は地球人とは別物だった。
彼らの『ラルク』に発砲した銃は、ホルダーに収めていない。
そもそもホルダーみたいな入れ物は必要ない。
銃を自らの手で出したり消したりできるからだ。
この行為は、当然地球人にはできない。
彼らが地球人でない証拠は他にも、5階建の建物から飛び降りても難なく着地できる事もそうである。

ならば、彼らは何者か。数人が『ラルク』の入った檻を持ち上げた。
…二足歩行のロボに変身して。
他には空の檻を両手で持った者も数人。こちらもロボに変身した。
全員がロボに変身し、上空へすぐに飛んでいった。
飛行時間はわずか数秒。雲隠れする宇宙船まで移動した。

『ラルクを捕獲しました。』
『ご苦労。最初から犯罪者共に頼らず、奪い取ったらよかったなぁ。』
『はい。』
『そのまま俺の所まで連れてこい。後は俺がなんとかする。』
『かしこまりました。』

オペレーターが誰かと通信でやり取りしていた灰色の宇宙船。
後部にロボ達が次々入っていった。
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