11・包囲の日

人間1人をすっぽり入れるには、ちょうどいいサイズだった。
(空気孔が天辺の丸い穴だけか…!これに入ったら抜け出されへんかもな…!?)
鐘のような檻は、武人をさらに驚愕させた。
同じ物が、また落ちてきたのだ。

狭い隙間内という厳しい条件の元、武人は檻の罠を回避していった。
落ちてくる檻をよじ登ったり、銃を出して檻の軌道を変えたり…試行錯誤の手段を取った。
(このまま広い通りに出るか…いや、被害や騒ぎが拡散される…!
屋上付近まで登れたら、あとは…!)

武人はこの時も回避行動にジャンプを使用した。

ジャンプが最大の落とし穴と彼は知ってただろうか。
マルロ戦の結末を思い出せるなら、理解しやすいだろう。
武人も『敵』に挟まれた。
屋上に人…『敵』がいるのは彼の読みどおりだったが。
檻を直角に向きを変えて、両方の建物の屋上から投げつけられるまでは…予測できなかった。

(しまった!?)
武人は危険を感じたが遅い。彼は檻に閉じ込められた。
檻の縁には細かいギミックが施されており、捕獲対象を完全に逃さないようにしていた。

だが山のように積まれた檻の影響により、足場は不安定。
武人の入った檻は、転がるように落下した。
(ぐっ…!)
ショックを和らげる為に、彼は頭に両手を置いた。
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