11・包囲の日

アレックスは武人の身体の検査を幾度も行い、地球上で再現可能な物質と仕組みの構築を模索した。
人間を守るコックピット《剛力ガラススフィア》、ロボの柔軟な骨格をつくる《神経チューブ》、体格の変幻自在を可能にした《熱溶解》を生み出した。
1人乗りではこの環境下でも絶えきれなかった。
だから3人乗りのコンセプトに変えた。特殊性能のオプションをつけて。
オプションが、【パスティーユ】がスピード型・火力近接攻撃型・広範囲攻撃型にチェンジできた。

(なんか売店でも開いてたら、水でも買えたんやけどな…。)
武人は思って空を見上げた。空の色は黒に近い青色。
普通の店舗であれば、閉店を過ぎている頃合いだろう。
(街の雰囲気あんま良くないから、なんか開いてるなぁと期待してたけど…人払いしとるわな。)
武人は空を見上げるのをやめて、背もたれを支えた建物の側から離れた。

帰ろうかとキリをつけて、建物の隙間を出ようとすると…。
武人の両目が細くなった。会場へ戻る足も止まった。
彼は自分の左右を目で追った。

(…誰かおるな?)
武人は人の気配を感じていた。
街を歩いた時、建物内の照明はどこも消灯されていた。
単純に住人が就寝時なだけだとも受け取れそうだが。

(灯りついとる部屋が1つもなかったんや。)
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