11・包囲の日

12番目の星、金星圏フェルホーンで、武人は運命的な出会いをした。王女エトラトルは、彼の精神的な支えになってくれた者だった。

地球の交流会で失ってしまった。
クーランの襲撃で絶えかけた彼を、彼女は救ってしまい…そのまま消えていった。
地球の血が流れる彼女の想いを武人は継いだ。

他の[宇宙犯罪者]と武人の違いは2つ。
前線に立ち過ぎたのと、身体をいじられた事。
武人はクーランの下に属していた時も、王女の警備時も、[ラストコア]の特別隊長になった時も、ずっと前線に立ってきた。

HRのロボ形態の変身の根幹は、細胞の分裂と破壊の繰り返しである。ロボットになるために細胞の分裂が始まり、元来の生物に戻るために細胞は壊される。
脅威的な力を持つHRの代償である。

他の者は比較的変身をしていない。
マルロのように仲間を使役する者もいれば、ニシアのようにHR以外の戦略を持つ者もいる。
武人は基本、戦い抜くにはHR能力がいる。
せいぜい、武器の銃を単発で出して生身で戦える程度だ。

だから武人は、アレックスに地球産ロボの開発の依頼をした。
同時に自分の身体の検査を彼に認めた。

【パスティーユ】等の超高性能なロボは、武人の身体検査なしでは完成しなかった。原始地球ではHRの知識が足りなかったのだ。
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