11・包囲の日

楽団の皆さんが楽器演奏の持ち場につき、楽器を持って演奏の準備をした。
少し静かな間を取った後、指揮者の両手が動いた。

弦楽器のソロパートから、曲が始まった。
やがて勢いをつけるように、他の楽器の演奏も私達の耳に入ってきた。
プロの楽団によるクラシック曲の演奏は、心地良かった。
1曲1曲終わるたびに、私達は拍手をしていた。

バイキングに夢中になっていた勇希兄ちゃんが、私と和希兄ちゃんの分を持ってきた。
勇希兄ちゃんは自分の皿にかなりの量を詰め込んでいた。
私達の分はこれより少なめだ。
満腹になってしばらく動けなくなっても知らないからね、勇希兄ちゃん。
説教ではないけど、兄に一言指摘するのを今日はやめた。
心の中に留めて、後で覚えてたら言えばいいかと。

1日が終わる前にコンサートは終了した。
クラシックだけだったけど、綺麗な演奏に酔いしれていた。
パーティー開催中に問題は発生しなかった。

…武人兄ちゃんがいなくなった以外は。
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