11・包囲の日

シナリオを聞いただけでも、私達の過去の戦闘と似通った部分が見つかって。
小説の執筆者はどこかで戦闘を見ていたのかな?と疑うほど。
小説の名場面と、私達の戦闘の経験談との、交換のやり取りをした。

あっという間にパーティー会場に到達していた。
談笑で時間の感覚を忘れていた。
パーティー会場は位置的に[ラストコア]臨時支部の近くに設定されていた。
これも早く着いたと感じられる理由の1つでもあった。

会場内はいつスタートしても違和感がないほど、飾り付けが施されていた。
綺麗なテーブルクロスの上に、真っ白なお皿と光沢のあるナイフ・フォーク・スプーン。ワイングラスのツヤも、美しく輝いていた。
料理はバイキング形式で、洋風メインのメニューとなっていた。

会場内の前方には、幕が下ろされたままのステージが存在した。
あともうちょっとで、音楽コンサートが開幕する。
ワクワクするなあ。
勇希兄ちゃんはバイキングのメニューに夢中だけど。
下の方の兄の行動に呆れていると、会場内にアナウンスの放送が流れた。
放送はコンサート開催の合図で、それが終わるとステージの幕が上がった。

温かみのある照明の中、オーケストラの楽団の皆さんが横一列に並んでいた。
皆さんが一礼をして、指揮を担当する人が軽く挨拶を述べた。
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