10・誓約の日

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[ラストコア]臨時支部内の通路も、愛嬌市内の本部と内装は似ていた。
カメラ映像ではあるが、窓際側のスクリーンは海底の様子が映っていた。

白井3兄妹に付き添っていた武人と、避難誘導に関わったジェームズが同じ場所で立っていた。ドア側の壁に、2人とももたれながらだが。
ジェームズが武人の所にやって来たのは、報告する為だった。

「土星圏の支援が可能になった。宇宙進出の日も近くなるだろう。」「技術の伝授なん?」
「船を何隻か用意してくれるみたいだ。数次第では日が短くなるかもな。」
「今回の目的は手っ取り早い方がええ。…奴は早く止めないとな。」
ジェームズはポケットから自販機で入手した缶コーヒーを取り出して、開けた。
「しかし、トンケ団だったか?
土星圏を支配していた割に大した事なかったな。」
「強いのはHRのトンケだけや。昔見た時は華奢やったけどなぁ…かなり改造されとったな。智将に指揮任せてたみたいやし。」
武人が言っている間に、ジェームズはコーヒーを1口飲んだ。
「昔のトンケは頭悪いHRちゃう。
改造で身体が大きくなっていって、思考が弱くなったんやろうな…。」

「…いいのか?」「何がや?」ジェームズが武人を見た。
「王子に戦闘を挑んで来い、とお前は言ったようだが…。」
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