10・誓約の日

【ブラッドガンナー】の手があがった。
『ビウス、残存兵の扱いは[ラストコア]の規律に沿ってもらうけど、ええな?』
『我々は兵士の身だ。同士達よ、理解してほしい。
我々が討つべき相手はクーランだ。
この者達は反クーラン組織となろう。
今は新たな同士として、共に戦ってくれ。』
それ以降、手下達が後ろへ下がった。
ロボ形態のビウスが不思議と浮いた状態になっていた。

『私は呪わない。青年よ、奥まで貫いてくれ。』
『…和希。』武人兄ちゃんが名前を呼んだ。

モニターから様子を見ると、和希兄ちゃんの手が震えていた。
『いいのですか…こんな勝ち方。』
『構わん。神が君達を選んだのだろう。
原始地球の空と、空気を味わえただけでも幸せなのだ。私は。』

【スカイ】はそこそこのスピードでビウスの前へ向かった。
止まると、【スカイ】は1本の剣をビウスの心臓部分…の前に近づけた。
和希兄ちゃんの震える手は、意外に早く止まった。
『…もっと仲良くなれたなら、草花も見せたかったですね。』
『…そうだな。』
『最後まで、目に焼き付けてくださいね。青空。』

剣は勢いよく、下に降りた。
【スカイ】の手によって、ビウスのロボ形態の心臓部分に穴が開いた。
大きな音がする筈なのに、音が聞こえないような感覚がした。
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