10・誓約の日

『そんな…。』『ビウス様!』
手下の2、3人がビウスの周りに駆けつけた。

『フフ…惨めな姿を曝け出してしまった…。
貴様の言う通り、私は締まりのない戦士だろうな…。』
『静かにして下さいビウス様!今すぐ解除して施術を!』
『もう…よい。撃ってきたのはクーランであろう。』
ビウスは息絶えるのを踏ん張って、話しかけていた。
私にはそう映っていた。

『私が幼稚すぎたのだ。
クーランにつく周りのHRは皆、力か頭脳どちらか突出していた。
私は…メイス随一の大隊長を務めていただけに過ぎない、一介の兵士だったのだ。
夢を、見すぎてしまったのだ。』
『そんな事は滅相もございません!我々を導いて…。』
『エトラトル様は希望の女神だった。彼女の宇宙進出が一縷の望みだった。
…ラルク、貴様がエトラトル様に手を掛けてないのは存じている。
クーランの襲撃で倒れた貴様を、彼女は救っただけだと。
だが、私の怒りが収まらなかったのだ。』
ビウスはぎこちない動きで頭部を【スカイ】のいる方向に向けた。

『我々は降伏する。残存兵をそちらで扱ってもらいたい。
私はこのまま命を絶つ。
…青年よ。君の蒼き剣で私を刺してくれまいか?』
『ビウス様!?』『勝手な事を言うな!』
『ちょっと待ち、王子と手下君。』
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