10・誓約の日

ビウスの近くから移動すると、彼は剣先を上に掲げた。
ロボ形態の頭部の面が、両手で隠された。
あげる動作は2段階で、今度は肘も位置が変わった。
どうやら剣を振り下ろす技らしい。
まだ離れないと、バリアを張ってもダメージをくらうだろう。
警戒するように、【スカイ】は下がっていった。

だけど、私達はビウスの攻撃を受ける羽目にならなかった。
トドメを刺すつもりのビウスが爆発に巻き込まれたのだ!

『え?』『あーあ、締れへんなあ…。』
『ビウス様!』
和希兄ちゃんは驚き、武人兄ちゃんが呆れ、手下は心配の声があがった。私と勇希兄ちゃんはもちろん、驚きの反応だった。
『うわあああああ!』
ビウスの悲鳴。
爆発の影響で、ビウス以外の者は状況がわからなかった。

『…まさか。』
『そうみたいね。宇宙からの発射の軌道が見つかったわ。』
武人兄ちゃんと同じく他の敵の迎撃にあたっていた王子とサレンさんが言った。第3の敵が、判明したらしい。

爆発はすぐにおさまった。
しかし、姿を現したビウスのロボ形態はボロボロで。
特に悲惨なのは、手足の先が無くなっていた事だ…。
『HRは生命体や。再構築なんて要素は、余程の改造が施されない限りあらへん。』
『やっぱりアイツの手足は…。』
『手術でもせんと、回復せんやろうなぁ…。』
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