10・誓約の日

『いや、もうちょっと詰めていく。
あと少しずつ減らしてから一気に攻めていきたい。』
「わかったよ。念の為に予備エネルギーを準備するね。」
『ありがとう。』
私はパネル操作で予備エネルギーを準備し、接続を行った。

HRと地球人の差は、あった。和希兄ちゃんの息遣いでよくわかる。
体力的に見れば、ビウスの方が余力を残しているようで。
和希兄ちゃんの体力は、もうすぐ限界点まで到達しそうだ。
コックピットのモニター画面は、私達の健康チェックまで調べてくれていた。

『…いいだろう。私の必殺技をお披露目しよう。』
ビウスはロボの半分程の長さの剣を、胸元に寄せた。
刃先は頭部より上を指していた。
両手でマイクを持つように握っていた。
彼の両脇、浮いている足元から白い霧が出てきた。
白い霧はもくもくとあがり、剣の刃先へ集っていった。
やがて刃先に、丸い光が現れて、少しずつ膨れ上がった。

『これは…。』
『今すぐ離れなあかんで!』『え?』
ビウスの手下と交戦していた武人兄ちゃんの声だった。
同じHRの兄ちゃんが、遠くからでも危険を察知しているって事は…。

『潮時か…。』『回避したらいいだろ!距離を取ろうぜ!』
「攻撃分をギリギリ残せる範囲で、バリアを張っておくね!」
その場凌ぎでも、防ぐ手立てを私達は行った。
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