10・誓約の日

☆☆☆
地球の高校生である和希兄ちゃん。
HRで部隊のリーダーを務めるビウス。
ロボ搭乗状態の地球人と、ロボ形態に変身した金星人。
両者の力量に差はなく、拮抗していた。
良く言えば和希兄ちゃんはかなり善戦をしているし。
悪く言えばビウスが他の[宇宙犯罪者]より弱いと判断できる。

実は和希兄ちゃん、中学時代の途中まで剣道教室に通っていた経験があるんだ。
メキメキと強くなっていった勇希兄ちゃんと違って…弱い印象を受けていた。
けど何度かジュニア大会に出ていた実績もあったんだ。
趣味の電子工作と勉強を理由に、剣道の稽古から身を引いたのだけど。
HRのビウスといい勝負しているって事は、和希兄ちゃんは剣道の勉強もおさらいしていたのかな。
和希兄ちゃんも私と似て、自分自身を前に出さない内向的なタイプ。
勉強、電子工作の合間に、今回の剣術戦に備えたんだろう。

『くっ、やるではないか!』
カキンと刃の音がはっきり伝わった。
「和希兄ちゃん、エネルギーがまだ5割程残ってるよ?」
『もっとパワー出してもいいんじゃねぇの!?』
サブパイロットとして和希兄ちゃんのサポートにまわった私と勇希兄ちゃん。
エネルギーの管理はもちろん怠っていなかった。
和希兄ちゃんはハアハアと過呼吸気味のまま言い返した。
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