10・誓約の日

真摯な姿勢で取り組みたい和希兄ちゃんの気持ちを、私と勇希兄ちゃんは拒むことができなかった。
「大丈夫だよ。変わりたい時は言ってくれたら変わるよ。」
『兄貴は控えめすぎるんだよ。ガツンと行く時いかねぇと後悔するぜ?』
「行き過ぎて泣き喚く誰かさんよりは冷静だけど。」
『おいコラ!』
勇希兄ちゃんはすぐ反応するなぁ。私も揶揄うからいけないのだけど。
『今回も敵の大将落としていこうな?』
周りの手下は俺らが協力して落としとく、と武人兄ちゃんが引導を渡そうとしていた。

これに反発した男がいた。
武人兄ちゃんに女の人の事で因縁を持っていたビウス?だった。
『逃さんぞラルク!貴様の相手は私だ!心身ともに腐りおって…!』

ガンガンガン、と3発の銃声。弾の行方はビウス本人ではなく、彼の後ろの離れた手下達の心臓部分に定まっていた。
ロボ形態の手下達は撃たれると勢いを失って、ゆっくり下の海へ落ちていった。
これなら雑魚は無視でいいか。
武人兄ちゃんは固まるビウスに向けて、正直な話をした。
『エトラトルは自らを捧げただけや。負傷で意識を失った俺を救うために。エトラトルに報いる為の復讐やったら、クーランにするべきや。
10年前の地球襲撃事件の主犯はアイツやから。』
『ふざけた事を抜かすな!動揺をさせる気か!』
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