10・誓約の日

☆☆☆
『…ど素人のやり方やなぁ。』
輸送機の後ろで飛んでいる武人兄ちゃんのセリフだった。
HRのロボ形態で兄ちゃんは備えているけど、セリフの雰囲気がのん気に感じられた。

その真逆が操縦士さんの張り合った声だった。
『宇宙船が沈んだんですよ!津波被害が出てくるかもしれません!』
『そうですね…。』
『王子とか土星人も来てるんや。
避難誘導は伝わっとるし、沈んだ船が這い上がらんように祈ろうや。』『だよな。そっちの方が楽だし。』
勇希兄ちゃん…確かに残りの茶色い船を潰したらいいだけにはなるけど…。
戦闘は残りの2隻の船を落とす目的へと変わる、予定だった。

沈没したと予想した派手な宇宙船、這い上がり時も威勢がよかった。波が大きくうねり、津波の二次災害が起きないか心配だった。
災害関連処理は全般的にスタッフの皆さんに任せきりなのだけど。

大気圏突入時でも眩しかったのに、近くで見るとさらに目が痛くなる。船を凝視しない方がいいな。
宇宙船も派手で大層だなぁと思えば、乗組員の態度もデカいなぁと実感したのが、宇宙船から発せられた音声だった。

『ラルク!そしてラルクに跪く愚かな原始人共よ!
我々は金星圏メイスの高潔なる軍隊、[エクステラ隊]である!
我らの尊敬する女神様を失わせた罰として、貴様らを処刑する!』
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