10・誓約の日

「変化?何があったのです。」
リュートは自然と続きを知りたがっていた。

「私が見聞したのは、地方の商人の管理長からでした。
火星人と協力関係を結んだことで、商業が発展していったと。」
「まるで戦争の恩恵パターンですね。」
ジェームズが皮肉を言った。
この場の者に対してではない。
「喜んでいる彼らを、私は無碍にする事はできません。
経済の活性化は、星の生命維持にも必要な成分となりました。
それは我々の血肉となる素材さえも、今や取引、交換で賄う時代に…。」
首領陣の1人の言い分に、地球人の宗太郎とジェームズはある程度納得していた。経済の概念が同じだからだ。

「ですがこれでようやく、支配からの脱却ができました。
商業人の反発を買う羽目になりますが、被害に遭われた者達も我々は考えなければいけないんです。
地球人との交渉会議は、解放への切り札だと見込んでました。
少数ですが、今回は参加させていただいたのです。」
首領陣の話はまだ続いた。
「協力しましょう。技能知識等習得の必要な分野は準備がいりますが…。」
「幾つかの宇宙船の提供を検討しましょうか?距離にもよりますが、太陽系内でしたらそのままの運航が可能な船がありますよ。」
他の首領陣が言った内容に、4人は表情を明るくさせた。
宗太郎を筆頭に、4人は頭を下げた。
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