10・誓約の日

大気圏突入は成功する。
熱の膜が無くなった瞬間に、敵の船の外観を視認できる。
輸送機は既に発進していた。
敵の降下地点は太平洋上だと推測されている。

弟と妹もレバーを握っている。
武人さんも同じ輸送機に乗っている。
ニコンの王子達は別の輸送機で待機していた。
ようやく、敵の宇宙船が地球内に入った。
金色?の飾りが多く、凝視すれば目が痛くなりそうな船だった。
真ん中で先陣をきる船だけが豪華だった、というのが救いかもしれない。
3隻ともに派手な船だったら、めまいを起こしそうだから。

『あー、あれは金星の奴やな…。』
武人さんが言った。
『知っているの?兄ちゃん。』
未衣子が尋ねた。
武人さんは首を左右に振って、
『…いや、金星も広いから、未確認の新しい奴でも出たんやろ?』
と返した。

俺ははぐらかしているのだろうか、と考えていた。
深読みしすぎだろうか。
戦闘を交えたら色々判明するし、今は気にしなかった。
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