10・誓約の日

ビウスの反応は早かった。
『はい!要は取引をしましょう!
我々はラルク討伐、クーラン様は新兵器の開発のみ。
これでクーラン様は一歩も出なくていいでしょう!』

クーランは彼の言葉を聞いて、自分の行動を振り返ってみた。
ここ数年、自分の部屋から出た回数は少なくなっていた。
久しぶりに身体を大きく動かすと、すぐ疲労が溜まるのは経験済みだ。
ならば、もう少し部屋に籠る方が楽だろうと、クーランは金髪の高貴な男に気付かされたのだ。

最終的にクーランが決断を下した。
「わかった。必ず仕留めてこいよ?
取引だし、報酬も弾むように考えておくぞ。」
既にキラキラ輝いていたビウスの表情が、更に明るくなった。
『かしこまりました!我が同士達とともに、討伐に参ります!』
敬礼の構えをした後、ビウスは自ら回線を切った。

「はあ…無駄な出費をしたなぁ。」
暗くなった部屋の中で、クーランは再びため息を吐いた。
「運動でもするか…。」
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