10・誓約の日

これ以上ビウスを指摘しても時間の無駄と思い、クーランは話を変えた。
その時、両目を閉じる仕草をした。

「…で、お前さんは何で奴に挑みたいんだ?」
『奴は、ラルクは、エトラトル様を消したのだ!
我々の希望の女神を…あんな火星男に…!』
ビウスの発言に、怒りの感情が見えていた。
「あの嬢ちゃんはフェルホーンで、お前はメイス出身だろ?利害関係ねぇじゃん。」
『女神様を斯様な呼称で呼ばないでください!あの方は、元はメイス出身のHRなのです!』
「拾われたのは聞いてたが…メイスだったとはな…。」
新たな事実を知ったクーランは、右手の指で顎の肉を摘んでいた。

「俺も人の事言えんが…恨みだけではラルクは倒せんぞ?
対策は施すつもりか?真正面から突入したら、やられるぞ?」
『それはこれから…』
「だから遅いって。確かにお前さんの力は認める。
だが力のゴリ押しで、今の地球人に勝てるかと言えば難しい。
開発も交渉も、かなり力を入れてるしな。」
『でしたら、これはどうでしょう?』
ビウスは右手を前に出した。
『クーラン様は一研究所の博士であります。繁栄の継続の為、開発と研究に専念したい筈です。
時間と引き換えに、我々がラルク討伐に参りましょう!』

ビウスの提案に、クーランの目つきが変わった。
「…いいのか?」
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