10・誓約の日

武人は通路の天井を見ていた。
「[宇宙犯罪者]がのうのうと生きてたらあかんし。
俺も変身のせいで寿命も縮まっとるしな…。
最後に生き残りに倒されたとしても、俺に悔いはあらへん。
…クーランに潰されたら話は違うんやけどな。」
「先に宇宙進出を目指すんだな。」
「そうや。」

ジェームズは残りの缶コーヒーを飲んだ。
「船がやって来たら、試用運航後に進出をしたい。
HRを悪用し、宇宙の秩序を乱す輩を打ちのめしたい。
クーランの討伐は、その先駆けとなるやろう。」
「衛星データも、王子達の話でも…悪用する権力者の始末のニュースを耳にした事がないな。」
「それだけHRの開発技術も発展してしまったんや。
負の資産だけ、肥大化しとる。
俺も負の資産の一部やけどな。」
「…子供達にしたら、違うと否定しそうだがな。」
「それだけでも十分や。」

ここで2人の会話は途絶えた。
ジェームズは缶コーヒーを飲み干して、回収箱に捨てに行った。
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