10・誓約の日

「誠に、申し訳ございませんでした。」
[ラストコア]臨時支部、統制制御室にて。
土星圏の星々の首領陣の1人が謝罪の言葉を述べた。
彼が頭を下げると、他の者達もそれに倣って同じ行動を取った。

「我々は臆病者です。あの悪賊共に怯えながら、のうのう暮らしてきましたので…。」
「いえ、お気になさらず。我々も配慮が足らず、申し訳ございません。」
トンケ団襲撃時に同時避難をした、[ラストコア]総司令官の西条宗太郎が言った。

「トンケ団の襲撃は過去に幾度もあったはずです。何故我々に連絡をなさらなかったのです?」
ニコンの代表としてリュートは尋ねた。
「口封じと、油断ですね…。近年のトンケ団は活動を静めていたようでして。」「何故です?」
「我が星の兵士によりますと、トンケ団は火星人と協力関係を結んだようで。」
「火星…!」宗太郎、リュート、サレンの3人が驚いた。
「星とか、人物でもいい。判明しているものはありますか?」
ジェームズは会議場にはいなかったが、襲撃時の避難誘導に立ち合った。だから統制制御室にいた。
彼も同じ様に驚いたが、情報収集に徹した。

「智将のグロス様、でしたか…。
彼は何も話さなかった。ただ命令を下し、背いた者に罰を与えた男です。
ただ、変化がなかったと言えば嘘でしょう。」
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