1・正夢の日

整然な陣形を取っているようにみえるが、訓練兵一人一人に意欲がみられないと武人は肌で感じ取っていた。
訓練は何度も実施するから、お馴染みの取り繕った既製品を眺めているようで、飽きてしまう。

(こんなもんで、地球を守る気かいな...パターン一緒や。)
武人は『ラストコア』のトップである総司令官・西条宗太郎に変えてくれと何度も依頼していた。
しかし、他国の軍隊も世界情勢の影響により、そちらを優先させられると宗太郎は言って、武人に我慢させていた。

初めは耐えていた武人だったが、それも限界に近づいてきた。
「悪いんやけど、俺に委ねてくれへんか?」
「既に決定権は君に託しているが。」
「訂正するわ。選択範囲を広めてもええか?」 「どういう事だ?」
「一般人に声をかける。」
「!?」
宗太郎は武人の発言に驚いた。
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