1・正夢の日

謎のロボの右手には、白い杖なのかロッドなのか。
どうやら背丈と同じくらいの棒を持っていた。

先端部分には丸い物体があり、中にはピンクの花が凝縮されていた。
紙細工をした事あるならば、あれはくす玉の一種だと思う人もいるかもしれない。
そんな形をした球が入っていた。

『女型…?【HR(ヒューマニティー・ロボティクスの略)】でも珍しいというのに…!』
敵のロボは呟いた。
謎のロボはロッドを持ち上げた。
機体の周りに数個の光の球が引き寄せられた。
今度はロッドを前に一振り。
光の球は全部、敵のロボに向かっていった。
もちろん敵のロボは難なく回避した。
刀裁きに比べればスピードは緩やかだからだ。

ところが、この球には特殊な力を秘めていた。
球が分裂し、倍に、倍に増えていく。
さらに球の左右から、針金のような細長い線が出てきた。
線は球と球とを繋ぐ役割を担っていた。
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