1・正夢の日

☆☆☆

男の人が差し伸べた手を、私達は自然と掴んでいた。
兄妹3人、しかも和希兄ちゃんは大人の仲間入りとも言え る身長はある。

それをもろともせず、彼は全員背負って、一気に飛んだ。
上空へ出た瞬間、男の人の身体が光り出した!
わからない内に、私達はロボの両手の上にいた。
全身真っ黒な、さっきの敵のロボと同じ高さのロボ。
でも所々に赤のラインが引かれていて、さらにラインは光っている。
ロボの両手は黒ではなくグレーの色だが、関節部分と似たような色味をしているので、違和感を感じない。

雲が漂う上空を、私達はただ眺めていた。
雲の隙間から、濃い青色が見えた。
愛嬌湾の波は穏やかだった。

先に敵のロボが向かっていた筈だけど。
男の人...黒いロボがしゃべりだした。
『今から、すごいもん見せたるな?』
黒いロボは私達からある方へ視線を向けた。
SFに出てきそうな、大きなシャトルが飛んでいた。
21/38ページ
スキ