日常

 あっという間に街に出た。船を出て早々ガラの悪いチンピラに絡まれる。ミホークはメアの肩を抱き寄せるとメアをミホークにピッタリくっつけた。ミホークの胸より少し下にメアの頭がきた。チンピラはミホークを見るなり怯えたような表情をする。ミホークはそのままメアを抱えたまま歩き出した。まずミホークが向かったのは服屋だった。ミホークは女物が売られてる服屋にも当たり前のように入って行った。ミホークはようやくメアから手を離し、服を見始めた。そばのカゴに服を入れていく。適当に入れてるようでちゃんと選んでるのかワインレッドか、黒、白のドレスが多かった。確かにメアは赤黒の服を着てるが、白はどう考えたってミホークの好みだろう。案外ミホークにもそんなところがあるんだ。メアは服屋を見渡した。目に止まったのはワインレッドのブラウスに黒のミニスカート。動きやすそうだ。メアはそれを手にとってミホークの持ってるカゴに入れた。
 それらを購入した。相当な量の荷物をどうやって持ち歩くのだろうと思っていたらさっきのチンピラがショッパーを待って船へ走って行った。あのチンピラはどうやらミホークの手下らしい。海賊っぽいな、なんてメアは思った。
 そして次に入った店は薬局だった。ミホークは「あの小娘が言うには女に化粧品は必須らしい。見てこい」と言った。メアは確かにメイクをしてるが最低限だ。だから何が良くて何が悪いのかわからなかった。適当におすすめっぽいやつをカゴに入れた。ミホークはメアに近づいてきて、試供品のリップブラシをメアの唇をなぞるように塗った。メアの唇には紅が足された。使ったこともない真っ赤なリップ。ミホークは定員にリップブラシを渡し、商品のルージュを手に取った。そして「これも買え」とカゴに入れた。似合ってたのかな?なんてメアは思いながらミホークが支払う姿を見ていた。
 次に向かったのは靴屋だった。沢山の靴がメアを取り囲んだ。
「そのヒールブーツをなんとかしろ。俺から離れる気ならな」
 ミホークは言った。メアは少しむっとしながら答えた。
「ヒール慣れしてるんで大丈夫です」
 そう言ってメアはヒールブーツを手に取った。ミホークが手に取ったのは底がぺったんこのブーツ。そして結局二つ買うことになった。メアは絶対に履いてやらんを心に決めた。
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