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クロスギルド

再会を喜びあった二人の空間にでんでん虫が鳴り響いた。すぐメアの元を離れてでんでん虫に向かうミホークもさすがに少し不機嫌だった。ガチャリと、受話器を取る。ため息混じりにミホークは言った。
「何の用だ。クロコダイル」
メアはミホークの後を追いかける。ミホークは電話に応じながら本の整理をしていた。
「ちょうど今、海軍に島を取り囲まれてる」
「だろうよ」
元王下七武海サー・クロコダイルの低い声が城に轟いた。
「さっきのレヴェリーで、王下七武海は全権利を剥奪され、世界政府との繋がりは絶たれた」
メアはミホークの横に並んで本を片付ける。クロコダイルはまだ話し続けている。
「こうなりゃ、お前もただの海賊。こういう時だけ海軍は仕事が早い」
クロコダイルが口角を上げるのが何となく分かる。なにか企んでるとメアは考えた。
「こうなった責任を一端はお前にある」
「昔のことさ」
昔のことだと?こっちは海軍に追われる身だと言うのに?メアは少し腹立たしさを感じた。
ミホークはため息をつく。
「面倒だな。拠点を移さねばならない」
ミホークは黒刀夜に手をかける。
そこでクロコダイルは提案した。
「ならァ、こっちに来い」
ミホークはぴくりと反応した。メアも思わずでんでん虫を見てしまった。クロコダイルを真似たでんでん虫は「悪くねぇ話だろ?」とクロコダイルの声を伝えた。
「俺とお前の名が並べば、海軍が無視できねぇ組織になる。お前は昔、海兵狩りと呼ばれた男。他人を信用しねぇ点でも、俺とお前は同類だ」
クロコダイルはクハハと声を上げて笑った。そしてガチャリとでんでん虫は切れた。メアはミホークを見る。
「……不安にさせたな」
「ううん。大丈夫」
ミホークは荷造りを続けながらメアの頭を撫でた。
「ミホーク様」
「なんだ」
メアはミホークの顔を覗き込んだ。髪がくたとメアの頬にかかる。
「行くの?」
「……」
ミホークはしばらく沈黙を貫いた。メアも急かすまいと黙って返事を待っていた。
「俺は」
ミホークはそう口を開いた。
「俺は平穏を望む。確かに奴の言う通り俺とクロコダイルが手を組めば海軍は無視できない。しかし悪く言えば悪目立ちする。危険は増すだろうな。しかし相手はクロコダイルだ。そんな下手に動きはしないだろう」
ミホークはまたため息をついた。メアはミホークの手を取って聞いた。
「つまり、クロコダイルについて行くってこと?」
「そうなる」
ミホークはスーツを羽織り、黒刀夜を背負った。メアに帽子を深く被せる。そしてメアの手をミホークは掴んで二人で城から出た。ミホークはもう一度クロコダイルにでんでん虫を寄越した。
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