関係

ハンコックとの恋バナ生活は結構長く続いた。正直後半はネタ切れだったが。ハンコックは飽きずにずっと話していた。ルフィの話を。私は後半ほぼ聞きっぱなしだった。まぁ、ハンコックは話せて満足そうだったけど。
 今日のハンコックはいつもと少し違っていた。手には世界経済新聞を持ち、どこか重々しい顔をしていた。そしてメアに真剣な顔をして言った。
「今すぐここを出ていくのじゃ。鷹の目のところへ!」
「ま、待ってよ!よくわからない!」
 メアがそういうと、ハンコックは新聞を渡してきた。そこには大々的に、王下七武海制度廃止の文字。
「ここもじきに危険になる。そなたは自分の身を守れ!」
 メアは決意した。ミホークの迎えを待つのではなく自ら会いに行くと。
「私、ミホーク様に会いに行く。船を出して」

 ハンコックは丁寧に船乗りまでつけてくれた。正直1人じゃ航海しようがなかったからありがたい。一秒でも早くミホークの元に戻りたい。その一心で海の先を見た。
 気づけば眠ってしまっていた。目が覚めた時にはもう島は目の前だった。湿気が多いためベタベタする。
 ハンコックにもっと感謝しておけば良かったななんて今更思う。
 船が岸に着いてメアはようやく気づいた。海軍がいる。今は追われる身。ミホークもメアも。メアは屈みながら城を目指した。

 ミホークの畑が見える。着いた。城に逃げ込むように入った。そしてミホークを探した。ミホークは自分の部屋にいた。メアはそんなミホークの姿を見て泣きそうになるのを堪える。やっと、やっと会えた!ずっと待ち望んでいた。ミホーク様に会うのを。
 メアはゆっくりミホークに近づいた。それでもミホークはすぐメアの気配を感じ取って振り向いた。
「久しいな」
 ミホークの目に写ったメアは顔を真っ赤にして今にも泣きそうな顔だった。メアはミホークに駆け寄った。そしてミホークはメアを受け止めた。メアは強くミホークを抱きしめた。それをあやすようにミホークは背中をさすった。しばらくメアの鼻をすする音が響いていた。外は海軍のサイレンの音。それすら2人には聞こえなかった。
「なんで、置いて行ったりしたの?」
「お前に危険が及ぶと思った」
「ハンコックだってどっちにしろ追われる身だよ?」
「ボア・ハンコックはその仲間達も強い」
「ならミホーク様だって強いでしょ。私なんて簡単に守れるくらい」
 メアはミホークの胸で泣いた。声を殺して泣いた。ミホークは「すまない」と言う。
「もう置いて行ったりしないで」
「あぁ」
「絶対」
「あぁ」
 メアはようやくミホークから離れた。目元を擦り俯く。
「見ての通り俺は今海軍に追われる身だ」
「どこに行くか知らないけど、私も連れてって」
「二度と元には戻れないぞ」
「貴方がいるならそれでも」



一章完
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