変化

「おはようございます。ミホーク様」
 ゾロ、ペローナはギョッとした顔でメアを見た。ペローナはわなわなと口を震わせ、ゾロはメアに詰め寄った。
「ミホーク様なんて、どうしたんだよ?」
「ミホーク様は私の命の恩人だから」
 そう、私を絶望から救い上げて下さった恩人。ペローナはメアの横に寄って耳元で囁く。
「で、昨日はヤッたのか?」
 メアはブワッと顔を赤くする。なぜ知ってる。やはりミホーク様の部屋から出てきたのがいけなかったのか。ミホークは誤魔化すようにワインを煽った。メアはペローナを叩いた。しかし霊体のため手は空を切った。ペローナは今度ミホークに近づき怒っていた。
「乱暴してないだろうな?」
「当たり前だろう」
「怪我人とヤるなんてどうかしてるぞ」
「俺は断った」
 ミホークは淡々と答えた。ペローナはむっきー!!と怒っていた。そしてメアの傷を心配した。ゾロとミホークは朝練に行く。残されたメアはペローナに言った。
「恋心だった。あのイライラも、殺したくなるのも」
 ペローナは顔を明るくして「だろ?」と声を張った。
「殺したくなるのは変わらないし、なんなら今は私が死にたい」
「な、なんでだ?」
「さぁ」
 メアはミホークを思い出す。大きな手は温かくて力強くて優しい。剣を握ってるとは思えない。メアはミホークに恋をしたのだ。その恋心はメアを苦しめる一方だった。
「ペローナも恋をすると苦しい?」
「うーん、苦しいぞ。でも楽しい!」
 ペローナは子供みたいに笑ってメアに言った。メアの肩を掴んでペローナは自身満々に言った。
「きっとメアも楽しめる時が来るぞ!」
 そんなペローナにメアは微笑んで「うん」と返した。ペローナは満足気に笑ってメアの手を引いた。
「よし!アイツらが来る前に朝食を作っちまおう!」
 メアは少し痛い腰を支えながらキッチンへ向かった。
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