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変化

 鷹の目が帰ってきた時、すぐに異変を感じた。ペローナは帰ってきたミホークを見て思わず絶句した。メアが痛々しい姿で帰ってきたのを見る。
「ゴースト娘、手当しろ」
 その声すら痛々しくて。ペローナは急いで救急箱を持ってきた。ゾロはミホークに詰め寄った。
「おい、お前がいながらなんでこんなことになってんだよ!?」
 ミホークは言い返さない。ゾロはミホークを見てゾッとした。その猛禽類の瞳がより一層見開かれ、深く深く景色を飲み込んでいた。狂気だ。ゾロは後ずさった。
 ミホークはまだ興奮する体を冷ますようにワインを煽った。

 結局、その日はメアは目覚めなかった。みんなが寝静まる夜。ミホークは眠れずにいた。すると、ギギギィと扉が開いた。そこにいたのはメアだった。ミホークは起き上がり、メアに尋ねる。
「安静にしてろ」
「……」
 メアはペタペタと裸足でミホークに近づく。
「聞こえなかったか?」
 メアはミホークをベッドに押し倒した。突然ミホークを押し倒せるわけない。しかしミホークはメアに負担をかけまいとベッドに押し倒された。メアはあの日のように馬乗りになる。メアの紅い、猫の目がミホークを写し込む。メアは口角を上げて、ミホークに笑いかける。ミホークは夢を見ていると錯覚を起こした。
「ミホーク様」
 そう、ミホークを呼んだのはメアだった。
「確かめたいことがあるの」
 ミホークはメアを見る。なにをメアが考えてるのか、全くわからないで。
 メアはミホークの腹筋を撫でて、そのまま、胸、首、頬とミホークを指先で撫でる。ミホークはメアの手を掴んで言う。
「やめろ」
「なんで?」
「お前は今怪我人だ。酷くなったらどうする」
 メアは笑った。
「私が怪我してなければいいわけ?」
「……」
 ミホークはメアの誘惑に目を細める。なんて表情のするのだとミホークは驚いた。
「今日はやめろ」
「嫌」
 メアはミホークの肩を軽く噛む。
「痛い思いをするぞ」
「痛いのは慣れてるの」
 メアはミホークを獲物のように捉えて離さなかった。ミホークもだんだん腹が立って、メアの首に噛みついた。
「今日はやめておけ」
 ミホークは最後の理性を振り絞ってメアを引き離した。引き離されたメアは親に見放された子供みたいな表情をしてミホークを見た。今にも泣きそうでミホークはギョッとした。
「このままトラウマにしたくないの」
 メアはそう言い終わる前に涙をぽろぽろ零した。メアはミホークの腹の上で両手で顔を覆って泣いた。そんな痛々しい姿をミホークは見てられないと視線をずらす。そして大きな手でメアの頭を撫でた。
「こんな俺を許してくれ」
 ミホークはそう言ってメアを優しく押し倒した。
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