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変化

 路地裏から出ようとした時、不快な笑い声が聞こえた。あぁ、嘘。メアはピストルを構えた。そして後ろに向けた。後ろにはやはり醜く笑ってる男が4人いた。男はニヤニヤ笑っていた。
「おぉ、おっかねぇ姉ちゃんだ」
 気持ち悪い。
「なぁ、ちょっと遊ばないか?楽しませるぜぇ?」
「お生憎。連れと来てるの」
「へぇ?じゃあ連れと合流するまででいいぜ?」
 しつこいな。
「嬉しい誘い。でもごめんなさい」
「なぁ、俺のこと知ってるだろ?神風のトムだ」
 はぁ。誰だよ。メアは呆れたように男を見た。
きっとこいつらは海賊だ。それだけはわかる。
「海賊さんかしら?」
「へぇ?俺らをしらないのか?ならとことん教えてやるよ」
 そう言って男はメアの手を掴んだ。メアも負けじと銃を四発放つ。二発は外し二発当たり、2人倒れた。でもどうやら残った二人を怒らせたようだ。1人の男がメアを殴った。
「いっ!」
 メアは気が遠のくのを薄々感じていた。そして気づいた時には暗転していた。

 目が覚めたら薄暗い場所に椅子に縛られて座らせられていた。鉄パイプやら、瓦礫やら無造作に散らばっていて嫌な匂いがした。血の匂いが鉄の匂いかわからない。
「おはよう姉ちゃん」
 さっきの男だ。
「ごきげんよう」
 まだ顔が痛い。苦しい。怖い。メアの中で複数の感情が入り混じって気持ち悪い。
「痛いのと気持ちいの、どっちが好きかな?」
 男はニヤニヤしながらそう問う。メアは答える。涙が滲みそうなのを堪えながら。
「痛いのかな?」
「そうか。ならお望み通りに」
 そう言って男は吸っていたタバコをメアの腕に押し付けた。
「いやっ!!」
 じゅっと音を立ててメアの腕に跡をつける。
「なんだ?意外と平気そうだな?」
 そう言って男はメアの服をナイフで切った。メアの腕が晒される。腕には大量の自傷跡があった。
「なるほど痛みには慣れてるわけか」
「最低」
 メアはついに涙を零した。
「確か、鷹の目のお気に入りらしいな?なら、奴と同じナイフの方がいいかな?」
 するとナイフをメアの目の前に翳した。メアは「ひっ」と声を上げた。男はメアに近づく。メアは目を瞑った。
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