日常

「その能力の一時的な利用」
 ドフラミンゴは言い放った。メアは思わず言葉を失う。そして軽く笑った。
「なんだ、そんなものでいいの?」
 ドフラミンゴは笑みを深くする。
「へぇ?」
「私の能力は創作。私の目で見たものしか創作できない。だからきっと貴方の思ってるものは作れないし手伝えないと思うけど?」
 ドフラミンゴはそう聞いても表情を変えない。ずっと不敵に笑っている。何か狙いがあるのだ。メアもそれはわかってる。しかし自分の利用価値がそこまであるとは思えない。
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃんは自分のことを本当に知らないんだなァ?」
「知らないし、知りたくもない。だからこの話は無しね」
 メアはドフラミンゴを睨んで言う。ドフラミンゴは愉快に笑った。
「おいおい、本気か?自分の可能性を潰すのか?そんなんじゃ海賊として生きていけないぞ?」
「はっ!海賊?私が?」
「違うのか?」
 なにを言ってるの?私が海賊?馬鹿馬鹿しい。
「懸賞金がいくら安くてもかかってるのにか?」
「え?」
 懸賞金?私に?メアは内心焦った。そしてドフラミンゴは懐から手配書を取り出した。そこに写っていたのはメアの写真と「猫の目の悪夢 メア」の文字。そしてその下には「1700万」の数字。そう、メアの手配書だったのだ。メアは目を見張る。ドフラミンゴは笑った。
 しばらくしてセンゴクが来た。眉間に皺を寄せ、気づいたら集まっていた七武海を睨みなごら見渡した。
 メアもセンゴクを睨み返す。
 センゴクは会議を始めた。

 ミホークは目を開けたまま寝ていて、ドフラミンゴは何かを企んでるのか笑ってる。他の七武海も興味なさそうにしていた。センゴクはため息をついて「この会議は終わりだ」と言った。ようやく終わった。メアは肩を回した。
「猫の目の悪夢は残るように」
 センゴクはそう言った。猫の目の悪夢って私のこと?メアは思わず振り返った。
「それは無理な話だ」
 そう言ったのはミホークだった。それを聞いたセンゴクは眉間の皺の深くする。
「いいよ、鷹の目。私センゴクの話聞いてくる」
 ミホークは顔色ひとつ変えないが、どこか嫌そうに見える。
「それじゃ」
 メアはセンゴクの後を追いかけようと後ろを向いた。その時腕を掴まれた。後ろからは「フッフッフッフッ」と笑い声が聞こえる。ドフラミンゴだ。
「まだ話は終わってなかったんだがな?」
 メアは振り返りドフラミンゴを睨む。
「私は終わらせたけど?」
「どうだ、俺と来ないか?」
 何を言うかと思えば。メアは断ろうと口を開いた。するとミシミシと、ドフラミンゴは強くメアの腕を掴んだ。メアは顔を顰める。ドフラミンゴの手を振り払おうとした時、ドフラミンゴの手がスパンッと切れた。ごとっと音を立てて落ちる。
「触るな」
 ミホークは黒刀夜を構えながらドフラミンゴに言った。ドフラミンゴはイトで腕を繋ぎ合わせた。メアはゾッとして動けなかった。
「こりゃぁ怖いな。またな、メアちゃん」
 ドフラミンゴはそう言って歩き去った。メアは恐る恐るミホークの顔を覗き込んだ。ミホークの目はギラギラ光っていた。
「早く行ってこい」
 ミホークはそう言って椅子にまた座って目を閉じた。メアは震える足を動かしてセンゴクを探した。
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