ハロー!ウィザーティングワールド
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脱衣所の奥には休憩用のベンチと昔ながらの冷蔵庫がある。着替え終わったサルビアは当たり前のように冷蔵庫を開けて一本のビンを取り出した。昔ながらのコーヒー牛乳(meizi産)のビンを外し腰に片手を当てて一気に飲み干す。この一杯が格別なんだ。瞬く間に飲み切ると冷蔵庫から二本取り出し近くにあったベンチに腰掛けてスネイプを待つ。5分後戸惑いながらも恐る恐るといった様子でスネイプが現れサルビアの隣にちょこんと座った。
「ずいぶん遅かったね。着替え手伝った方がよかった?」
「四肢がもがれてもぜっったい頼まない。あと別に着替えるのに手間取った訳じゃなくてただ…こんな上等な服を僕が着ていいのかわからなかっただけ」
「いたいけアピールしても何も出ないからね。ほらコーヒー牛乳飲みな」
グイグイ頬に押し付けられた瓶をスネイプは仕方なく受け取った。受取拒否した場合サルビアは無理やり飲ませるのが目に見えているからである。スネイプが瓶の蓋を開けるのに四苦八苦する横でサルビアは後方保護者ヅラをしながらバナナオレを嗜みつつスネイプを上下観察した。現在スネイプはブラウスに紺のジーンズといったごく普通の服を着ている。スネイプの家に行くまでに古着屋で適当に選んだが普通に着こなしている。さらにざっくらばんになっていた髪を整えた(嫌がるスネイプに腹パンして気絶させた)のが功を奏した。数時間まで公園に現れた醜い蝙蝠少年は見事ダークな雰囲気をもった美少年へ変化したのだ。黄ばんだ歯は見事に白く輝きピカピカ。やっぱこいつ磨けば光るやつじゃん。自画自賛する横でコーヒー牛乳の蓋を開けるのに苦労していたスネイプは無事に開けられて一息ついた。口を付けるのにかなり躊躇っていたが覚悟を決め一気に半分まで飲み干す。
「!これすごくおいしい!エスプレッソみたいな色合いなのにまろやかさや甘さが全然違う!」
「そりゃ風呂上がりの一杯は格別さね。本当ならビールが最高だけどこの姿じゃねえ。帰ればビール、帰らなくてもビールよ」
「お前子供なのにお酒飲みたいのか」
「ノーアルコールノーライフだからね」
前世は立派な酒カスだったサルビアは酒がないと文字通り力尽きる。仕事以外での日常生活は常に酒を摂取していた酒カスである。家賃の十倍以上を酒代に費やしていたアルコールまみれの前世である。子供の身体でも飲めない事はないが(我慢できずに真夜中料理酒をを口にしようとしたところ母親に見つかった直後の記憶がない)倫理を考え禁酒している。大人になったら正々堂々と飲めるのを想像したサルビアはテンションをMAXにした。海外だからショットグラス式わんこそば風が合法で実現できるね。一人ほくそ笑むサルビアの横でスネイプは陰りの見える表情のままぽつぽつと語り始めた。両親は大変不仲であり毎晩喧嘩をしている上に父親はいつも機嫌が悪く暴力を振るってくるのだそうだ。母親は虐待をしないもののスネイプに対して殆ど無関心だという。話し方から父親ではなくスネイプはマグルを心底憎んでいるのだとサルビアは察した。
「パパはマグルだから魔法使いを毛嫌いしている。だから僕の事も大嫌いなんだ」
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い理論ね。魔力無しが憎いから私のとびきり可愛くてチャーミングなチュニーが嫌いなわけか」
「だってあいつも僕を馬鹿にした!」
「そりゃ君がエンジェルリリーをストーカーしてたからよ。ウルトラチャーミングなチュニーは一つつも悪くない。ちょっっっとだけ言い方を間違えたの」
「良いマグルもいるかもしれないが僕はマグルなんてみんな大っ嫌い」
「んもうっ強情な坊ちゃんねえ。そんなんじゃ一生リリーは振り向かないぞ⭐︎」
「……………できるならマグルを好きになるよう努力したい」
ウインクをしたサルビアを直視したせいで激しくえずきながらもスネイプはマグルに歩み寄りたいと前向きな意志を口にした。いつの間にかこんなに大きく成長してと目元にハンカチを当てたサルビアは激励しようとしてふとやめた。何故かスネイプが己の手を包み込むように握ってきたからだ。栄養不足なのか骨張っているのが目立つ指を見てサルビアの目玉が溶けた。スネイプは何も言わなかった。作りかけの目玉と目が合い途方もない吐き気がスネイプを襲ったが彼はなんとか耐えた。
「マグルの中でもお前の妹はまだマシな方だ。リリーに僕を好きになってもらいたいから妹の方と距離を縮めて仲を深めようと思う。お前はリリーと僕を繋ぐ架け橋になれ」
「へいへいそこのクソガキ君お姉さん怒らないからもう一度言ってごらん」
「僕はリリー・エバンズを恋人にしたい。だからお前と友達になって彼女の情報を貰い仲良くなる。そして将来お前をお義姉さんと呼ばせてもらう」
「表出ろ粗チン小僧!!!二度とふざけた冗談言えない身体にしてやらあっ!!!!」
「かかってこいペチャぱいレディーが」
※二人の喧嘩はアレなので軽やかなBGMでも流します。ブンブンハチが飛ぶん小池にハマって野原が咲いたよブンブンハチが飛ぶん(ビブラート)
それから数日後。
「お邪魔しま〜す貴様の首を差し出せ」
「温度差で風邪を引くし人の家来て早々に首を狩ろうとするんじゃない。それと地味に脇腹をこづくのはやめろ。む、今日はリリーがいないな」
「ばっっっかじゃないの?先生から立ち入り禁止と呼ばれているスピナーズ・エンドにウルトラキュートリリーを連れて来るわけないじゃん」
「お前は堂々と来ているじゃないか」
「“サルビアさんは危険物ですので行っても問題ありません”だと」
「妥当すぎる判断だ」
それから一週間後
「僕の愛しの天使たち〜クソが…可愛い幽霊さんが遊びに来てくれたよ。玄関まで迎えに来てあげて」
「はーい。あら貴方この間の」
「は、初めまして、僕セブルス・スネイプと言います。リリーさんとペチュニアさんに会いに来ました」
「直ちにここから立ち去れいっ!」
「もう姉さん意地悪言っちゃダメよ」
「ジュッ」
「あの…そこの人蒸発したけど」
「気にしないで。すぐに復活するから」
「……うんそうする。後これ手土産です」
「わあ嬉しい。ハロウィンなのに悪戯もしないでお菓子をくれるなんて貴方いい人ね」
「親方そいつは下心ありありのクソガキスネイプですぜ。今のうちに処分した方が今後の為かと」
「リリーの後ろにいるレディ。花のブラウスを着た麗しい貴女はペチュニアさんであっていますか。先日は無礼を働いてすみません。お詫びと言ってはなんですがこれをどうぞ」
「あらチュニーの好きな店のパイじゃない。ほらちゃんとお礼を言いなさい」
「………玄関に突っ立っていたら邪魔だから中に入れば」
「弁護士を!至急弁護士を呼べ!!!!あんのクソエロガキを速攻追い出す権利を私によこせええええええれ!!!」
「あらあらお友達が増えて嬉しいからママ今晩張り切っちゃう。よかったらスネイプ君も夕飯一緒に食べてかない?」
「!すっごい…すごい嬉しいです!ありがとうございます!」
「ボウッ」
「おたくの娘さん黒焦げになりましたよ」
「直に復活するから気にしないで。さ、スネイプ君入って入って」
「あ、家族全員こいつの体質に関しては突っ込まないんですね」
それから二ヶ月後
「どうして私には魔法が使えないのかしらって悩んだ時期なんて数え切れないぐらいあったわ。けどその度にサルビア姉さんがいるから魔法がなくてもいいじゃないって思考を前向きにしてる」
「あいつ君が息吸ってるだけで感動のあまり昇天しかけてたしな」
「でも魔法が使えるようになったらって良いなって思う夜もある。どうしようもない劣等感に苛まれた時はあの事件を思い出して今の自分を褒めるの。あれがなかったらきっと嫉妬心でリリーを嫌いになっていたわ」
「差し支えなければその事件とやらを聞いてもいいかね」
「暇だからいいわよ。昔ね、魔法が使えて可愛くて素直なリリーの方が両親や姉さんに愛されてるって勘違いして私こっそり家出したの。無論泊まる所なんてないから夜の学校に忍び込んだだけ。机の上に突っ伏して泣き腫らしていたら姉さんが窓ガラスをぶち割って私を迎えに来てくれたの。校門前に家族が待っていたけど私の足は一歩も動かなかった。叱られるかもってびくびくしてたけどリリーも両親も駆け寄ってきて苦しいぐらい私を抱き締めて謝ってくれたの。寂しい思いを抱いてしまう接し方でごめんねって泣かれて。私その時初めて自分がちゃんと愛されてるって実感したの」
「いい話だ。それがあったから君はリリーと比べるのをやめたのか」
「いいえ全然ちがうわ。学校は三階建てで私の教室は三階。姉さんはジャンプしてガラスに突っ込んだの。当然姉さんは無事。そして家に帰ったら家の半分が浸水していたのに感動が吹き飛んだわ。私が家出したのに泣き過ぎた姉さんが魔法で洪水を引き起こしたの。お陰でレンジやら冷蔵庫がダメになったの」
「…………ご近所さんの反応は?」
「“あらあらまたお漏らししちゃったの〜”とのほほんとしていたわ。泣き過ぎた姉さんが洪水を引き起こすのを近隣住民のおばさま方はお漏らしと名付けていてうちの家が浸水する度に話のネタにしてる」
「おばさまたち適応力ありすぎるだろ」
「この事件をきっかけに私は認識を再度改めたわ。魔法への嫉妬を拗らせて誤った道に走ると姉さんが引き起こす二次災害が大きすぎる。だからありのままの自分を大切にしないとダメなのって6歳の頃に学んだわ」
「仮にあいつが妹関連で山一つ爆発したと告白しても普通に納得してしまう自分が嫌だ」
「なにより魔法が使えなくても姉さんが神を崇拝するように私を愛してくれる。だからそのままの私を私は受け入れて姉さんを崇めるの」
「そうか君はサルビアに負けず劣らずの強火シスコンだ」
「けど赤の他人にマグルだとか馬鹿にされたら悲しくなるの。だから初対面が最悪すぎたあんたの事は一生嫌い」
「おやそれは手厳しい」
「私はあんたを認めないしあんたも私を認めない。そうでしょ?ノーマジ、いいえマグル嫌いの魔法使いセブルス・スネイプさん」
「ご名答だ、ノーマジのペチュニア・エバンズさん」
それから一ヶ月後
「〜でねアズカバンには吸魂鬼っていう怖い看守がいるんだ。悪い奴はその看守に生気を吸い取られやがて衰弱死してしまうんだ」
「やだ怖い」
「安心してリリー。吸魂鬼が捕まえるのはこいつみたいな悪人だよ」
「やだ悪人がいるのねこわーい」
「お前の方が怖い」
「大丈夫よ姉さん。すぐに犯人は捕まるわ」
「危険人物はこいつ以外いないよ」
「(-_-)zzz」
「こら寝てないでちゃんと僕の話を聞け。これから話すのは魔法界の常識だ。それを守らなければ吸魂鬼に魂吸い取られてしまうんだぞ」
「吸なんちゃらもピンクの天使並みの吸引力があればどうにかなるでしょ」
「ダメよ姉さん。そんなばっちいの吸ったらお腹壊すにきまってる。せめてパーで平手打ちしてチョキで目潰ししてグーで腹パンした方が身体に悪影響を及ぼさないわ」
「うーん生き物なら背骨折れば楽なんだけど。ねえ吸魂鬼って骨はあるの?」
「……………幽体だからない」
「じゃあ塩撒いてお祓いするか。もしくはとりもちくっ付けて捕らえますか」
「とっても素敵な案ね」
「ねえリリー。さっき吸魂鬼を怖いって言ってなかった?」
「ええ。私一人じゃ吸魂鬼と対面したら恐怖で足がすくんじゃうけど姉さんが一緒なら怖いものなしよ」
「やっぱり一番の恋敵は姉のお前なんだなあ」
それから二ヶ月後
「あらあらまあ。頬が見事に腫れあがっちゃって随分と男前になりましたな。この婆やつくづく感動致しました」
「……」
「またお父さんに殴られたんでしょ」
「あっち行って」
「わからないよ〜♩包帯と消毒液持ってくるからそこ動かないで…はい持ってきたよ」
「お前が瞬間移動する程度じゃ驚かなくなった自分が憎い」
「染みると思うので痛かったら赤あげて白下げて赤白あげてください」
「白旗をあげるつもりはない。僕なんか放っておいてリリーと遊んでこいよ」
「怪我した友人放ったらかしにするほど私冷たくないわよ。にしてもスネちゃま反抗期かし「違う。はぁ…お前と話していると悩んでいた事が馬鹿らしくなる」
「鬱も吹っ飛ばす万能薬ですまんな」
「全人類を滅ぼす猛毒の間違いだろ…僕にとっては万能薬に等しいけど」
「あんだって?」
「耳をゾウ並みに大きくするな!」
「ずいぶん遅かったね。着替え手伝った方がよかった?」
「四肢がもがれてもぜっったい頼まない。あと別に着替えるのに手間取った訳じゃなくてただ…こんな上等な服を僕が着ていいのかわからなかっただけ」
「いたいけアピールしても何も出ないからね。ほらコーヒー牛乳飲みな」
グイグイ頬に押し付けられた瓶をスネイプは仕方なく受け取った。受取拒否した場合サルビアは無理やり飲ませるのが目に見えているからである。スネイプが瓶の蓋を開けるのに四苦八苦する横でサルビアは後方保護者ヅラをしながらバナナオレを嗜みつつスネイプを上下観察した。現在スネイプはブラウスに紺のジーンズといったごく普通の服を着ている。スネイプの家に行くまでに古着屋で適当に選んだが普通に着こなしている。さらにざっくらばんになっていた髪を整えた(嫌がるスネイプに腹パンして気絶させた)のが功を奏した。数時間まで公園に現れた醜い蝙蝠少年は見事ダークな雰囲気をもった美少年へ変化したのだ。黄ばんだ歯は見事に白く輝きピカピカ。やっぱこいつ磨けば光るやつじゃん。自画自賛する横でコーヒー牛乳の蓋を開けるのに苦労していたスネイプは無事に開けられて一息ついた。口を付けるのにかなり躊躇っていたが覚悟を決め一気に半分まで飲み干す。
「!これすごくおいしい!エスプレッソみたいな色合いなのにまろやかさや甘さが全然違う!」
「そりゃ風呂上がりの一杯は格別さね。本当ならビールが最高だけどこの姿じゃねえ。帰ればビール、帰らなくてもビールよ」
「お前子供なのにお酒飲みたいのか」
「ノーアルコールノーライフだからね」
前世は立派な酒カスだったサルビアは酒がないと文字通り力尽きる。仕事以外での日常生活は常に酒を摂取していた酒カスである。家賃の十倍以上を酒代に費やしていたアルコールまみれの前世である。子供の身体でも飲めない事はないが(我慢できずに真夜中料理酒をを口にしようとしたところ母親に見つかった直後の記憶がない)倫理を考え禁酒している。大人になったら正々堂々と飲めるのを想像したサルビアはテンションをMAXにした。海外だからショットグラス式わんこそば風が合法で実現できるね。一人ほくそ笑むサルビアの横でスネイプは陰りの見える表情のままぽつぽつと語り始めた。両親は大変不仲であり毎晩喧嘩をしている上に父親はいつも機嫌が悪く暴力を振るってくるのだそうだ。母親は虐待をしないもののスネイプに対して殆ど無関心だという。話し方から父親ではなくスネイプはマグルを心底憎んでいるのだとサルビアは察した。
「パパはマグルだから魔法使いを毛嫌いしている。だから僕の事も大嫌いなんだ」
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い理論ね。魔力無しが憎いから私のとびきり可愛くてチャーミングなチュニーが嫌いなわけか」
「だってあいつも僕を馬鹿にした!」
「そりゃ君がエンジェルリリーをストーカーしてたからよ。ウルトラチャーミングなチュニーは一つつも悪くない。ちょっっっとだけ言い方を間違えたの」
「良いマグルもいるかもしれないが僕はマグルなんてみんな大っ嫌い」
「んもうっ強情な坊ちゃんねえ。そんなんじゃ一生リリーは振り向かないぞ⭐︎」
「……………できるならマグルを好きになるよう努力したい」
ウインクをしたサルビアを直視したせいで激しくえずきながらもスネイプはマグルに歩み寄りたいと前向きな意志を口にした。いつの間にかこんなに大きく成長してと目元にハンカチを当てたサルビアは激励しようとしてふとやめた。何故かスネイプが己の手を包み込むように握ってきたからだ。栄養不足なのか骨張っているのが目立つ指を見てサルビアの目玉が溶けた。スネイプは何も言わなかった。作りかけの目玉と目が合い途方もない吐き気がスネイプを襲ったが彼はなんとか耐えた。
「マグルの中でもお前の妹はまだマシな方だ。リリーに僕を好きになってもらいたいから妹の方と距離を縮めて仲を深めようと思う。お前はリリーと僕を繋ぐ架け橋になれ」
「へいへいそこのクソガキ君お姉さん怒らないからもう一度言ってごらん」
「僕はリリー・エバンズを恋人にしたい。だからお前と友達になって彼女の情報を貰い仲良くなる。そして将来お前をお義姉さんと呼ばせてもらう」
「表出ろ粗チン小僧!!!二度とふざけた冗談言えない身体にしてやらあっ!!!!」
「かかってこいペチャぱいレディーが」
※二人の喧嘩はアレなので軽やかなBGMでも流します。ブンブンハチが飛ぶん小池にハマって野原が咲いたよブンブンハチが飛ぶん(ビブラート)
それから数日後。
「お邪魔しま〜す貴様の首を差し出せ」
「温度差で風邪を引くし人の家来て早々に首を狩ろうとするんじゃない。それと地味に脇腹をこづくのはやめろ。む、今日はリリーがいないな」
「ばっっっかじゃないの?先生から立ち入り禁止と呼ばれているスピナーズ・エンドにウルトラキュートリリーを連れて来るわけないじゃん」
「お前は堂々と来ているじゃないか」
「“サルビアさんは危険物ですので行っても問題ありません”だと」
「妥当すぎる判断だ」
それから一週間後
「僕の愛しの天使たち〜クソが…可愛い幽霊さんが遊びに来てくれたよ。玄関まで迎えに来てあげて」
「はーい。あら貴方この間の」
「は、初めまして、僕セブルス・スネイプと言います。リリーさんとペチュニアさんに会いに来ました」
「直ちにここから立ち去れいっ!」
「もう姉さん意地悪言っちゃダメよ」
「ジュッ」
「あの…そこの人蒸発したけど」
「気にしないで。すぐに復活するから」
「……うんそうする。後これ手土産です」
「わあ嬉しい。ハロウィンなのに悪戯もしないでお菓子をくれるなんて貴方いい人ね」
「親方そいつは下心ありありのクソガキスネイプですぜ。今のうちに処分した方が今後の為かと」
「リリーの後ろにいるレディ。花のブラウスを着た麗しい貴女はペチュニアさんであっていますか。先日は無礼を働いてすみません。お詫びと言ってはなんですがこれをどうぞ」
「あらチュニーの好きな店のパイじゃない。ほらちゃんとお礼を言いなさい」
「………玄関に突っ立っていたら邪魔だから中に入れば」
「弁護士を!至急弁護士を呼べ!!!!あんのクソエロガキを速攻追い出す権利を私によこせええええええれ!!!」
「あらあらお友達が増えて嬉しいからママ今晩張り切っちゃう。よかったらスネイプ君も夕飯一緒に食べてかない?」
「!すっごい…すごい嬉しいです!ありがとうございます!」
「ボウッ」
「おたくの娘さん黒焦げになりましたよ」
「直に復活するから気にしないで。さ、スネイプ君入って入って」
「あ、家族全員こいつの体質に関しては突っ込まないんですね」
それから二ヶ月後
「どうして私には魔法が使えないのかしらって悩んだ時期なんて数え切れないぐらいあったわ。けどその度にサルビア姉さんがいるから魔法がなくてもいいじゃないって思考を前向きにしてる」
「あいつ君が息吸ってるだけで感動のあまり昇天しかけてたしな」
「でも魔法が使えるようになったらって良いなって思う夜もある。どうしようもない劣等感に苛まれた時はあの事件を思い出して今の自分を褒めるの。あれがなかったらきっと嫉妬心でリリーを嫌いになっていたわ」
「差し支えなければその事件とやらを聞いてもいいかね」
「暇だからいいわよ。昔ね、魔法が使えて可愛くて素直なリリーの方が両親や姉さんに愛されてるって勘違いして私こっそり家出したの。無論泊まる所なんてないから夜の学校に忍び込んだだけ。机の上に突っ伏して泣き腫らしていたら姉さんが窓ガラスをぶち割って私を迎えに来てくれたの。校門前に家族が待っていたけど私の足は一歩も動かなかった。叱られるかもってびくびくしてたけどリリーも両親も駆け寄ってきて苦しいぐらい私を抱き締めて謝ってくれたの。寂しい思いを抱いてしまう接し方でごめんねって泣かれて。私その時初めて自分がちゃんと愛されてるって実感したの」
「いい話だ。それがあったから君はリリーと比べるのをやめたのか」
「いいえ全然ちがうわ。学校は三階建てで私の教室は三階。姉さんはジャンプしてガラスに突っ込んだの。当然姉さんは無事。そして家に帰ったら家の半分が浸水していたのに感動が吹き飛んだわ。私が家出したのに泣き過ぎた姉さんが魔法で洪水を引き起こしたの。お陰でレンジやら冷蔵庫がダメになったの」
「…………ご近所さんの反応は?」
「“あらあらまたお漏らししちゃったの〜”とのほほんとしていたわ。泣き過ぎた姉さんが洪水を引き起こすのを近隣住民のおばさま方はお漏らしと名付けていてうちの家が浸水する度に話のネタにしてる」
「おばさまたち適応力ありすぎるだろ」
「この事件をきっかけに私は認識を再度改めたわ。魔法への嫉妬を拗らせて誤った道に走ると姉さんが引き起こす二次災害が大きすぎる。だからありのままの自分を大切にしないとダメなのって6歳の頃に学んだわ」
「仮にあいつが妹関連で山一つ爆発したと告白しても普通に納得してしまう自分が嫌だ」
「なにより魔法が使えなくても姉さんが神を崇拝するように私を愛してくれる。だからそのままの私を私は受け入れて姉さんを崇めるの」
「そうか君はサルビアに負けず劣らずの強火シスコンだ」
「けど赤の他人にマグルだとか馬鹿にされたら悲しくなるの。だから初対面が最悪すぎたあんたの事は一生嫌い」
「おやそれは手厳しい」
「私はあんたを認めないしあんたも私を認めない。そうでしょ?ノーマジ、いいえマグル嫌いの魔法使いセブルス・スネイプさん」
「ご名答だ、ノーマジのペチュニア・エバンズさん」
それから一ヶ月後
「〜でねアズカバンには吸魂鬼っていう怖い看守がいるんだ。悪い奴はその看守に生気を吸い取られやがて衰弱死してしまうんだ」
「やだ怖い」
「安心してリリー。吸魂鬼が捕まえるのはこいつみたいな悪人だよ」
「やだ悪人がいるのねこわーい」
「お前の方が怖い」
「大丈夫よ姉さん。すぐに犯人は捕まるわ」
「危険人物はこいつ以外いないよ」
「(-_-)zzz」
「こら寝てないでちゃんと僕の話を聞け。これから話すのは魔法界の常識だ。それを守らなければ吸魂鬼に魂吸い取られてしまうんだぞ」
「吸なんちゃらもピンクの天使並みの吸引力があればどうにかなるでしょ」
「ダメよ姉さん。そんなばっちいの吸ったらお腹壊すにきまってる。せめてパーで平手打ちしてチョキで目潰ししてグーで腹パンした方が身体に悪影響を及ぼさないわ」
「うーん生き物なら背骨折れば楽なんだけど。ねえ吸魂鬼って骨はあるの?」
「……………幽体だからない」
「じゃあ塩撒いてお祓いするか。もしくはとりもちくっ付けて捕らえますか」
「とっても素敵な案ね」
「ねえリリー。さっき吸魂鬼を怖いって言ってなかった?」
「ええ。私一人じゃ吸魂鬼と対面したら恐怖で足がすくんじゃうけど姉さんが一緒なら怖いものなしよ」
「やっぱり一番の恋敵は姉のお前なんだなあ」
それから二ヶ月後
「あらあらまあ。頬が見事に腫れあがっちゃって随分と男前になりましたな。この婆やつくづく感動致しました」
「……」
「またお父さんに殴られたんでしょ」
「あっち行って」
「わからないよ〜♩包帯と消毒液持ってくるからそこ動かないで…はい持ってきたよ」
「お前が瞬間移動する程度じゃ驚かなくなった自分が憎い」
「染みると思うので痛かったら赤あげて白下げて赤白あげてください」
「白旗をあげるつもりはない。僕なんか放っておいてリリーと遊んでこいよ」
「怪我した友人放ったらかしにするほど私冷たくないわよ。にしてもスネちゃま反抗期かし「違う。はぁ…お前と話していると悩んでいた事が馬鹿らしくなる」
「鬱も吹っ飛ばす万能薬ですまんな」
「全人類を滅ぼす猛毒の間違いだろ…僕にとっては万能薬に等しいけど」
「あんだって?」
「耳をゾウ並みに大きくするな!」
