ハロー!ウィザーティングワールド
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麗らかな陽射しが地上に住む生物の頭上に降り注ぐ。ハロウィンが近いのか街並みには飾り付けがいくつかされている。この日は冬本番かと疑うくらい肌寒い風が吹き通行人は寒さに身をすくませている。しかし公園でブランコを漕ぐ女児二人は遊びに夢中ですっかり寒さを忘れているようだ。遊具で楽しむ子供の姿にのほほんと癒されていた通行人のモヴサンは隅にあるベンチに目を向けてうっと声を詰まらせた。少女が瞬きを一度もせずはしゃぐ女児を穴が開くほど見つめているのだ。どう見ても女児達と歳は変わらないだろうに少女が纏うオーラは熟練の念能力者並だ。背景に筋肉モリモリのおっさんが見えるわ見える。こわ…近寄らんとこと後退りするモヴサンの存在なぞアウトオブ眼中。少女は殺気を漲らせていたが何かに強く失望したかのように強く頭を掻きむしった。
「アァアアア年号がァ!!年号が古すぎる!!何故この時代にはスマホも高画質カメラもないんだあああああ!!」
もしもしお巡りさん公園に不審者がいます。それはサルビア・エバンズの奇行なのでご安心ください。
不審者改めサルビア・エバンズは絶望していた。なにせ手元には妹の可愛さを収める道具_スマホがないからだ。サルビアが転生した時代は1950年の後半。令和っこからしたらスマホもデジカメもねえおらこんな時代いやだを歌いたくなる年代であった。スマホはないが一応カメラは発売しているが、あれは重量があり持ち運びには向いてない代物だ。しかも現像屋に行かなければ中身が見れないおまけ付き。即座にベストショットが撮れているか確認したいサルビアにとってこのおまけは万死に値した。カメラを分解できれば令和のカメラに生まれ変われる技量を彼女はもっていたし家にカメラはある。しかし現実はそう簡単に甘くない。
『あのねこのカメラはママの私物だから気を付けて使うのよ。なにかあったら…ね♡』
カメラを受け取った際に釘をしっかり奥深く刺してきた母親の笑顔を思い浮かべサルビアは身震いした。いかなる時代や世界であろうとも母は強し。仮に分解などに走ってみやがれ直ちにお前を分解すると無言の圧をかけてくる母にサルビアは持っていたカメラとドライバーをそっと元の場所に戻した。母は強し(二回目)。改造カメラを使えない今心のフォルダに妹記録を焼き付けるしかないのだ。落ち着きを取り戻したサルビアだったが突如音を立てて素早く立ち上がった。野生の獣が獲物を見つけたようにギョロキョロと目玉を上下左右方向に満面なく動かす。いる、妹達の安寧を脅かすような輩が近くにいると第六感が告げている。
「姉さんどこ行くの?」
「リリー放っておきなさい。サルビア姉さんの行動に反応するだけ疲れるだけよ」
姉の行動にブラコンを漕ぐのをやめた二人だったが梟のように首を捻る姉を見てペチュニアは再びブランコを漕ぎ出した。奇行種の姉にツッコんでも疲れるだけなのだと悟っているのだ。リリーも姉を心配しようかとしたがペチュニアと同じようにブラコンに腰掛けた。つまりそういうこと。
「どこだどこにいる見つけて八つ裂きにしてやる」
未知の生物と化したサルビアがフーフーッと鼻息荒くしながら辺りを探る。公園にはエバンズ三姉妹しかいないのでブランコ以外からは音がしない。
普通の人間ならばこの時点で気のせいだと諦めるがここはハリーポッターの世界。そしてサルビア・エバンズはれっきとした魔法使い………であった。
「覚悟しろよ不審者如きが。正義の鉄槌を私が下してやらあ」
正義の味方に変身した悪人サルビアはにちゃあと口元を歪ませ、近くの茂みに生えている葉っぱを何枚か千切って宙に放り投げた。普通なら物理法則に乗っ取って葉っぱは地面に落下するだろう。しかしここはウィザーディングワールド。葉っぱは宙でくるりと円を描くとエンジンが付いた車のように速度を出しブランコの背後にある花壇に向かって飛んでいった。サルビアはそれを見てゲラゲラと高らかに笑った。完全に悪人である。光回線並みの速さで花壇に突撃しはサルビアそこに潜んでいた何かを素早く観察する。花壇に座り込んでいたのは子供だがとてもじゃないが清潔な身なりとは言えない。荒れ果てた屋敷のように伸び切った脂ぎった黒髪と年季が入った大人用の古着を着ているのに膝の皿が見え隠れするジーンズの短さが一層奇天烈さを生んでいた。ほぼ確実に貧困層の人間だろうが今のサルビアにとってそれは散り散りになったティッシュぐらいどうでも良い事であった。問題なのは男か女か、ただそれだけである。
「ヒッ!!お、お前何者だ!」
「獲ったどおおおお!!!」
声質からして男と判断したサルビアの行動は早かった。魔法をかけて風船みたいに少年を宙に浮かせ魚をモリで刺したかのような雄叫びをあげた。いきなり宙ぶらりんとなった少年はヤバい奴から距離を取ろうと必死にもがく。しかし悲しいかなブチ切れ状態のサルビアの前では文字通り手も足も出ない。
「さあて裁判の時間だよベイビー」
完全に悪役の親玉と化したサルビアによって哀れ少年は抵抗する間もなくベンチまで強制連行された。サルビアがベンチに向かうのに妹二人は怪訝そうな目を向けた。長女の奇行には慣れても第三者、しかもいたいけな少年が加わるなら話は違う。少年が浮いてるのを見てまた外で魔法使ってと激おこペチュニアと姉さん何の魔法使ったのと好奇心満々のリリーがサルビアの元にやって来る。
「ちょっとサルビア姉さん!!魔法を使っちゃダメって…あらその薄汚い子は誰?」
「不審者」
「はなせはなせ!!!」
「宙に浮かんでいて可哀想。魔法を解いてあげましょうよ」
「慈悲深いリリーの情けを聴きたいのは山々だけどこの子には聞きたい事が山ほどあるんだ…お前今リリーを見て頬を染めたな?」
「ち、ちがう。僕はそんなんじゃない。ただあの子が魔女だから僕は話がしたくて」
「よーしなら洗いざらい全部ぶち撒けてもらうぞクソガキが。よくも二人の天使を盗み見してたなこのエロガキが。事と次第によっちゃ明日の朝日は拝めないと思え」
リリーの頼みにより渋々浮遊魔法を解除したサルビア。少年、セブルス・スネイプは即座に逃げようとしたが悪の親玉の威圧に負け渋々小声で話し始めた。話している途中でやけにふけ臭い香りがスネイプから漂うのにペチュニアが鼻を抑えた。話し方や身なりからして彼の住まいは底辺が住むスピナーズ・エンド出身だろうと推測したペチュニアは目線を鋭くする。その一方でリリーが少年の身なりに心を痛めている。その横でサルビアは手頃な木の枝を拾って素振りの練習をしていた。スネイプはそっと尻たぶを抑えた。
「ほーん父親とは違いお前の母さんは魔女で息子のお前も魔法が使える。母親は息子に無関心でお前は学校に通ってないから話せる相手は誰もいない。同胞を探し求めて三千里、この辺りをうろついていたら昨日リリーがこっそり魔法を使っているのを見て仲良くなりたくて今日も来た、そうだな」
「う、うん。彼女は魔女だ。それも優れた力を持った立派な魔法使いになれる素質を持っている。だからそこにいるマグ…じゃなくて魔法を使えないお前を見てた訳じゃない」
マグルもとい魔法が使えないペチュニアを差別の言葉を浴びせようとしたスネイプは慌てて口を閉じて言葉を変えた。目鼻を溶かして代わりに剣山のように牙を生やした未知の生物の尾を踏みたくない。一方で魔法を扱えないと暗に馬鹿にされたのを感じ取ったペチュニアは、スネイプの挑発に対抗するように腰に手を当てた。
「黙って聞いていればばっかみたい。貴方みたいな汚い蝙蝠がリリーとお友達になれる訳ないじゃない」
「僕はお前と友達になろうともしてない。話に割り込んでくるなこのマ…魔法が使えない人間め」
「なによ!!魔法が使えるだけで上から目線なんてさいってい!!第一スピナーズ・エンドに住んでいる時点であんたの性格なんてたかが知れてるわ。だって着ている服がママのブラウスだもんね」
「っ!この!!」
図星を突かれたのか激怒したスネイプがペチュニアを殴りかかろうとする。側から見れば危ないのはペチュニアだがこの場合はスネイプの方が百倍危ない。なんせサルビアがいるのだから。案の定というべきかペチュニアに触れる前にスネイプは容赦なく地面に叩きつけられていた。手加減なしの右ストレートをサルビアがお見舞いしたからである。喧嘩を売るなら相手をよく見なさいとはまさにこの事。スネイプのやられ具合にザマアミロと嘲笑っていたペチュニアだが、頬が腫れても闘志を失わないスネイプに気圧されてか一気に涙目になった。
「なによあんたなんか知らないっ!!」
「ペチュニア!」
「私チュニーを連れ戻して一緒に家に帰るわ。サルビア姉さんはその子をちゃんと家まで送り届けてね」
「いや、だけど」
「妹のお願い聞いてくれないの?」
「任せておいてくれ」
妹の頼みにサルビアが断った事はただの一度もない。ペチュニアを追う役割をリリーに任せたサルビアはサムズアップしてすぐ血涙を大量に出した。妹追い掛けたい。一方サルビアと距離を取り石を手に持ったスネイプは倒すチャンスを伺いつつ、抑えられない好奇心に従い思い切って口を開いた。
「…………お前何者だ?無機物をあんな複雑に動かすなんてあり得ない。お前まさか闇の魔法使いか」
「んな訳ないじゃん。私は魔法が使えるごく一般的な10歳の子供だよ」
「一般って意味をほんとに知ってる?辞書を買った方がいいよお前」
同年代と告白するサルビアに唖然茫然としかできないスネイプ。年齢詐称してるだろ絶倒。スネイプのぽかんとした表情にサルビアの血涙が一瞬で引っ込んだ。べ、別に可愛いと思ったんじゃないからね!ツンデレ具合を出しながらもサルビアは今日のストーカー紛いは許してやると厳かに伝えた。既にスネイプの可愛さに負けを認めている。
「君は真っ直ぐに家に帰るから私とはここでお別れ。あ、次にチュニーにマグなんちゃらとほざいたら問答無用で歯を引っこ抜くから。わかった?」
「わ、わかった」
「千歩、いや一万歩譲ってリリーと友達になりたい意欲は認める。ただし!!!そのきったない格好じゃ死んでも会わせん!清潔な格好してから出直してこいや」
「……どうやったら清潔になれるのかな」
窓ガラスの隙間から入ってきた隙間風のようにひんやりとした独り言はサルビアの下の子可愛がりたいセンサーに見事に引っ掛かった。そもそも先ほど彼が語った内容と服装から想像するに両親は我が子の身なりに気を遣ってないのは火を見るより明らかである。戦意喪失したのか持っていた石をポロリと落とすスネイプ。途方に暮れたのかいくつもの染みがついたスモッグのようなシャツの裾を両手で握り締める子供は一人世界に取り残されたよう。なんだこの可哀想な子は救いたいめちゃくちゃ甘やかしてお世話したい!欲を吐き出しそうになりサルビアは耐えるように舌を噛み切った。いやいや待て待て待てこいつはリリーに恋心を抱くしペチュニアのコンプレックスを刺激する最低な男だから手を差し伸べる必要なんかないでしょ。無意識のうちに距離を詰めてきたサルビアにスネイプが警戒する。スネイプの歯茎の色が黄ばみかかっているのが目に入ったサルビアは膝から崩れ落ちて文字通り燃え尽きた。
「ふっ…私の負けだよ。」
「なにが?てか口からドバドバ血出てるけどお前平気なの?」
「アァアアア年号がァ!!年号が古すぎる!!何故この時代にはスマホも高画質カメラもないんだあああああ!!」
もしもしお巡りさん公園に不審者がいます。それはサルビア・エバンズの奇行なのでご安心ください。
不審者改めサルビア・エバンズは絶望していた。なにせ手元には妹の可愛さを収める道具_スマホがないからだ。サルビアが転生した時代は1950年の後半。令和っこからしたらスマホもデジカメもねえおらこんな時代いやだを歌いたくなる年代であった。スマホはないが一応カメラは発売しているが、あれは重量があり持ち運びには向いてない代物だ。しかも現像屋に行かなければ中身が見れないおまけ付き。即座にベストショットが撮れているか確認したいサルビアにとってこのおまけは万死に値した。カメラを分解できれば令和のカメラに生まれ変われる技量を彼女はもっていたし家にカメラはある。しかし現実はそう簡単に甘くない。
『あのねこのカメラはママの私物だから気を付けて使うのよ。なにかあったら…ね♡』
カメラを受け取った際に釘をしっかり奥深く刺してきた母親の笑顔を思い浮かべサルビアは身震いした。いかなる時代や世界であろうとも母は強し。仮に分解などに走ってみやがれ直ちにお前を分解すると無言の圧をかけてくる母にサルビアは持っていたカメラとドライバーをそっと元の場所に戻した。母は強し(二回目)。改造カメラを使えない今心のフォルダに妹記録を焼き付けるしかないのだ。落ち着きを取り戻したサルビアだったが突如音を立てて素早く立ち上がった。野生の獣が獲物を見つけたようにギョロキョロと目玉を上下左右方向に満面なく動かす。いる、妹達の安寧を脅かすような輩が近くにいると第六感が告げている。
「姉さんどこ行くの?」
「リリー放っておきなさい。サルビア姉さんの行動に反応するだけ疲れるだけよ」
姉の行動にブラコンを漕ぐのをやめた二人だったが梟のように首を捻る姉を見てペチュニアは再びブランコを漕ぎ出した。奇行種の姉にツッコんでも疲れるだけなのだと悟っているのだ。リリーも姉を心配しようかとしたがペチュニアと同じようにブラコンに腰掛けた。つまりそういうこと。
「どこだどこにいる見つけて八つ裂きにしてやる」
未知の生物と化したサルビアがフーフーッと鼻息荒くしながら辺りを探る。公園にはエバンズ三姉妹しかいないのでブランコ以外からは音がしない。
普通の人間ならばこの時点で気のせいだと諦めるがここはハリーポッターの世界。そしてサルビア・エバンズはれっきとした魔法使い………であった。
「覚悟しろよ不審者如きが。正義の鉄槌を私が下してやらあ」
正義の味方に変身した悪人サルビアはにちゃあと口元を歪ませ、近くの茂みに生えている葉っぱを何枚か千切って宙に放り投げた。普通なら物理法則に乗っ取って葉っぱは地面に落下するだろう。しかしここはウィザーディングワールド。葉っぱは宙でくるりと円を描くとエンジンが付いた車のように速度を出しブランコの背後にある花壇に向かって飛んでいった。サルビアはそれを見てゲラゲラと高らかに笑った。完全に悪人である。光回線並みの速さで花壇に突撃しはサルビアそこに潜んでいた何かを素早く観察する。花壇に座り込んでいたのは子供だがとてもじゃないが清潔な身なりとは言えない。荒れ果てた屋敷のように伸び切った脂ぎった黒髪と年季が入った大人用の古着を着ているのに膝の皿が見え隠れするジーンズの短さが一層奇天烈さを生んでいた。ほぼ確実に貧困層の人間だろうが今のサルビアにとってそれは散り散りになったティッシュぐらいどうでも良い事であった。問題なのは男か女か、ただそれだけである。
「ヒッ!!お、お前何者だ!」
「獲ったどおおおお!!!」
声質からして男と判断したサルビアの行動は早かった。魔法をかけて風船みたいに少年を宙に浮かせ魚をモリで刺したかのような雄叫びをあげた。いきなり宙ぶらりんとなった少年はヤバい奴から距離を取ろうと必死にもがく。しかし悲しいかなブチ切れ状態のサルビアの前では文字通り手も足も出ない。
「さあて裁判の時間だよベイビー」
完全に悪役の親玉と化したサルビアによって哀れ少年は抵抗する間もなくベンチまで強制連行された。サルビアがベンチに向かうのに妹二人は怪訝そうな目を向けた。長女の奇行には慣れても第三者、しかもいたいけな少年が加わるなら話は違う。少年が浮いてるのを見てまた外で魔法使ってと激おこペチュニアと姉さん何の魔法使ったのと好奇心満々のリリーがサルビアの元にやって来る。
「ちょっとサルビア姉さん!!魔法を使っちゃダメって…あらその薄汚い子は誰?」
「不審者」
「はなせはなせ!!!」
「宙に浮かんでいて可哀想。魔法を解いてあげましょうよ」
「慈悲深いリリーの情けを聴きたいのは山々だけどこの子には聞きたい事が山ほどあるんだ…お前今リリーを見て頬を染めたな?」
「ち、ちがう。僕はそんなんじゃない。ただあの子が魔女だから僕は話がしたくて」
「よーしなら洗いざらい全部ぶち撒けてもらうぞクソガキが。よくも二人の天使を盗み見してたなこのエロガキが。事と次第によっちゃ明日の朝日は拝めないと思え」
リリーの頼みにより渋々浮遊魔法を解除したサルビア。少年、セブルス・スネイプは即座に逃げようとしたが悪の親玉の威圧に負け渋々小声で話し始めた。話している途中でやけにふけ臭い香りがスネイプから漂うのにペチュニアが鼻を抑えた。話し方や身なりからして彼の住まいは底辺が住むスピナーズ・エンド出身だろうと推測したペチュニアは目線を鋭くする。その一方でリリーが少年の身なりに心を痛めている。その横でサルビアは手頃な木の枝を拾って素振りの練習をしていた。スネイプはそっと尻たぶを抑えた。
「ほーん父親とは違いお前の母さんは魔女で息子のお前も魔法が使える。母親は息子に無関心でお前は学校に通ってないから話せる相手は誰もいない。同胞を探し求めて三千里、この辺りをうろついていたら昨日リリーがこっそり魔法を使っているのを見て仲良くなりたくて今日も来た、そうだな」
「う、うん。彼女は魔女だ。それも優れた力を持った立派な魔法使いになれる素質を持っている。だからそこにいるマグ…じゃなくて魔法を使えないお前を見てた訳じゃない」
マグルもとい魔法が使えないペチュニアを差別の言葉を浴びせようとしたスネイプは慌てて口を閉じて言葉を変えた。目鼻を溶かして代わりに剣山のように牙を生やした未知の生物の尾を踏みたくない。一方で魔法を扱えないと暗に馬鹿にされたのを感じ取ったペチュニアは、スネイプの挑発に対抗するように腰に手を当てた。
「黙って聞いていればばっかみたい。貴方みたいな汚い蝙蝠がリリーとお友達になれる訳ないじゃない」
「僕はお前と友達になろうともしてない。話に割り込んでくるなこのマ…魔法が使えない人間め」
「なによ!!魔法が使えるだけで上から目線なんてさいってい!!第一スピナーズ・エンドに住んでいる時点であんたの性格なんてたかが知れてるわ。だって着ている服がママのブラウスだもんね」
「っ!この!!」
図星を突かれたのか激怒したスネイプがペチュニアを殴りかかろうとする。側から見れば危ないのはペチュニアだがこの場合はスネイプの方が百倍危ない。なんせサルビアがいるのだから。案の定というべきかペチュニアに触れる前にスネイプは容赦なく地面に叩きつけられていた。手加減なしの右ストレートをサルビアがお見舞いしたからである。喧嘩を売るなら相手をよく見なさいとはまさにこの事。スネイプのやられ具合にザマアミロと嘲笑っていたペチュニアだが、頬が腫れても闘志を失わないスネイプに気圧されてか一気に涙目になった。
「なによあんたなんか知らないっ!!」
「ペチュニア!」
「私チュニーを連れ戻して一緒に家に帰るわ。サルビア姉さんはその子をちゃんと家まで送り届けてね」
「いや、だけど」
「妹のお願い聞いてくれないの?」
「任せておいてくれ」
妹の頼みにサルビアが断った事はただの一度もない。ペチュニアを追う役割をリリーに任せたサルビアはサムズアップしてすぐ血涙を大量に出した。妹追い掛けたい。一方サルビアと距離を取り石を手に持ったスネイプは倒すチャンスを伺いつつ、抑えられない好奇心に従い思い切って口を開いた。
「…………お前何者だ?無機物をあんな複雑に動かすなんてあり得ない。お前まさか闇の魔法使いか」
「んな訳ないじゃん。私は魔法が使えるごく一般的な10歳の子供だよ」
「一般って意味をほんとに知ってる?辞書を買った方がいいよお前」
同年代と告白するサルビアに唖然茫然としかできないスネイプ。年齢詐称してるだろ絶倒。スネイプのぽかんとした表情にサルビアの血涙が一瞬で引っ込んだ。べ、別に可愛いと思ったんじゃないからね!ツンデレ具合を出しながらもサルビアは今日のストーカー紛いは許してやると厳かに伝えた。既にスネイプの可愛さに負けを認めている。
「君は真っ直ぐに家に帰るから私とはここでお別れ。あ、次にチュニーにマグなんちゃらとほざいたら問答無用で歯を引っこ抜くから。わかった?」
「わ、わかった」
「千歩、いや一万歩譲ってリリーと友達になりたい意欲は認める。ただし!!!そのきったない格好じゃ死んでも会わせん!清潔な格好してから出直してこいや」
「……どうやったら清潔になれるのかな」
窓ガラスの隙間から入ってきた隙間風のようにひんやりとした独り言はサルビアの下の子可愛がりたいセンサーに見事に引っ掛かった。そもそも先ほど彼が語った内容と服装から想像するに両親は我が子の身なりに気を遣ってないのは火を見るより明らかである。戦意喪失したのか持っていた石をポロリと落とすスネイプ。途方に暮れたのかいくつもの染みがついたスモッグのようなシャツの裾を両手で握り締める子供は一人世界に取り残されたよう。なんだこの可哀想な子は救いたいめちゃくちゃ甘やかしてお世話したい!欲を吐き出しそうになりサルビアは耐えるように舌を噛み切った。いやいや待て待て待てこいつはリリーに恋心を抱くしペチュニアのコンプレックスを刺激する最低な男だから手を差し伸べる必要なんかないでしょ。無意識のうちに距離を詰めてきたサルビアにスネイプが警戒する。スネイプの歯茎の色が黄ばみかかっているのが目に入ったサルビアは膝から崩れ落ちて文字通り燃え尽きた。
「ふっ…私の負けだよ。」
「なにが?てか口からドバドバ血出てるけどお前平気なの?」
