アルカ編
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イルミの殺気と共にアイの声が降ってきた。メガホンでも使っているのか時折ノイズが交じる。
「聞こえているのを前提として喋ろうか。私アイは宣言する。今回の
「うっそだろ、おい!!」
イルミに居場所がバレるリスクを無視して大声を出してしまう。実家にもいなかったしメールの返事もなかったから今回の
「アイお姉ちゃんだ!!あたしアイお姉ちゃんに会いたい!お兄ちゃんも会いたいでしょ…あれ?お兄ちゃんどうしたの?具合悪い?」
「いいや全然。お兄ちゃんは頑丈だからな」
そうだ、オレは決めたんだ。例え家族だろうとアルカを殺す存在なら手加減はしないって。腕の中で小首を傾げるアルカに高い高いをして落ち込んだのを誤魔化す。
「…キルア様、先にお伝えします。アイ様相手に執事が一斉に戦ったとしても。時間稼ぎ出来るお時間は数分です」
眼鏡のブリッジを押し上げるゴトーの額には汗が伝っている。カナリアやアマネやツボネすらもゴトーの結果論に頷くだけ。ここにいる全員で相手してもアイには敵わないのは百も承知。だからオレが出来るのはただ一つ。
「これから飛ばすからお兄ちゃんにしっかりつかまってろよ」
「うん!」
地面を抉る勢いで足に力を込めイルミ達がいる場所から全速力で距離を取る。執事がいるならアイも手加減すると思っていたが攻撃すらしてこない。妙だなと考える前にアマネから告げられた任務内容の方に意識を向ける。
「キルア様を無事にお連れするだと?そこにアルカの名前が無い限りお前等は敵なんだよ!」
万が一、万一があればオレはアイを、〇〇
「‥‥‥お兄ちゃん」
「どうした?」
「あたしジャマ…?いない方が
思ってもみなかった問いに足を止めてしまう。アルカは泣きべそをかいている訳でもなくおどおどした訳でもない。ごく普通の表情で自分の存在をいらない物だと判断している。アルカをそっと降ろし妹の肩に手を置く。昔と比べて背が伸びたけどまだ幼い子供なんだ。オレがしっかりしなくてどうする!!
「アルカ。もしも世界中でアルカの事大好きなのがお兄ちゃんだけだったら…悲しいか?」
「へ、えへへへへへ。笑いが止まらないくらい嬉しい」
天使のように無邪気な笑みでオレを抱き締めてくれる。こんな優しい妹を殺そうとするだと?上等だ、全員感電死させてやる。アルカを脅かす奴なら誰であろうと受けて立つ。
「オレがずっとそばに居るから他の奴の事なんて考えなくていいんだ」
「えっとね、それなんだけど」
言いにくい内容なのかうーとかあーだとか唸っている。口に手を当てて眉根を寄せている。どうやら内緒話をしたいらしい。どうしたんだ?
「あたしの味方がお兄ちゃんだけなら嬉しいけど…そこにアイお姉ちゃんも一緒だったらもっともーっと嬉しいなって。ナニカもアイお姉ちゃん大好きだもん」
「あーその事なんだけどアイは‥‥‥」
ナニカ、その名前を咀嚼した直後何万ボルトの雷が身体に行き渡る。そうだ、どうしてこんな簡単な嘘に気付かなかったんだろう。口元を手で覆ったのを疑問に思ったのかアルカは小首を傾げている。
「?アイお姉ちゃんがどうしたの?」
「ううん、アルカの言う通りだなってお兄ちゃん実感したんだ。アイお姉ちゃんもアルカの事大好きだって」
「うん!!そうなのそうなの!!この前もねアイお姉ちゃんと一緒に遊んでナニカも楽しかったって」
アイと遊んだのが余程嬉しかったのかアルカは腕を広げて説明している。現段階でアイが敵に回っているなんて考えもしないだろう。
そうアイは敵だ。しかしそれは建前上だとたった今判明した。もしもアイが本当に中立の立場に属しているなら大前提として親父やイルミにオレとアルカの秘密を伝えるべきだ。オレならば「おねだり」無しでナニカに命令し「お願い」を叶えられる。イルミがそれを知ればあらゆる手段を問わずに再び針を埋め込もうとするし親父だっていかなる手段を使ってオレを捕える。だが実際はどうだ。先程の事故を引き起こしたのはイルミだろうが本人が直接出向いた訳ではない。更にアマネやツボネは親父から直々にオレの護衛を任せられているだけで捕獲は命じられてない。確信に満ちたのは何よりアイがイルミの味方をしているのだとしたら、とっくのとうにオレは氷像となっている。
「ったく分かりにくいんだよ」
上がってくる口角を誤魔化そうと指で頬を押すが意味なんてない。一瞬でもアイを疑ったオレはとんだ馬鹿者だ。愛情表現がわかりにくいなんて昔から周知していたのに。ばちんと力強く自分の頬を両手で叩く。頬の痛みはアイを疑ったオレの罰でもあり、アルカを自由にすると気合いを注入した証拠だ。アルカを腕に引き寄せて木々の隙間を睨み付ける。誰かに見られているな。ツボネか?イルミか?流石に甘くないな、いいぜ望むところだ。
「行こうか」
「うん!」
これからの行く先々には数多くの困難が待ち受けているに違いない。けれどアルカを自由にする為ならオレは何でもやってやる。それにオレとアルカにはとびっきり頼れる味方がいるんだ。あの人がいれば百人力だぜ。
「オレはどうにか足掻くからよ。いざという時は手を貸してくれよ…アイ」
