キメラアント編
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フェイタン視点
「疲れたから寝るね」
イカれてるね。アイは完全に頭のネジ飛んでしまった。女王が死んだ事で途方に暮れているアリとなった元の住民に囲まれているのにアイは呑気にも地面で寝っ転がっている。突飛な行動を取るのに変わりはないがやけに違和感が伴う。果たしてこれは本当にアイなのだろうか?
「すごーい本当に起きない」
「頬をつくのはやめてやれ」
「はわや熟睡してるアイ姉様かわいすぎる。この世の楽園はここにあったんだ」
住民の手向けが終わってもアイは目覚めていなかった。えいえいとシズクに人差し指で突っつかれても身動き一つ取らない。間抜けな寝顔を無防備に晒しているのにむしゃくしゃた感情が体内を満たす。いつまでアホ面してるか。殴りに行こうとしたらいきなりフィンクスがアイをお姫様抱っこした。は?こいつ何してる?
「ぶ、無礼者!!それはアイ姉様に対する侮辱だぞ!」
「このまま放っておいたら当分起きねえだろ。それともお前が運ぶか?」
「そ、それは…」
「じゃあオレが運ぶよ。フィンクスは念の使い過ぎて疲れただろう?」
「はっ、よく言うぜ。シャルの方が消耗激しいだろ。立っているのもやっとなくせに無理すんじゃねーぞ」
お前何故そこでワタシの方向くね。切れ長の瞳が心を見透かされたようで少しだけ気分が悪い。ワタシが黙っているのを無視してフィンクスは街へと戻っていく。フィンクスの背丈が大きいのもあるのだろうか。今のアイは病弱の令嬢のようでフィンクスはお抱え騎士のようだ。側から見たら付き合っていると勘違いされそうだ。もしワタシがもう少し背が高かったらあそこにいたのは…馬鹿げた妄想を唾と共に吐き捨てる。もしもなんてありゃしないのだ。馬鹿馬鹿しいことこの上ない。
「こんなに不快になるのはアイのせいね」
流星街に戻ってきてもアイは目覚めない。いっその事地面に放置しとけば良いのにうるさい新入りのせいでそうは行かなかった。金は新入りが出す条件でアイは街でもそこそこ大きい宿屋の一室に宿泊する事となった。すぐに目覚める予定を裏切り三日過ぎてもアイは眠り続けている。闇医者が言うには身体に異常はないそうだ。
「いい加減起きるね」
容赦無く体重をかけ馬乗りになってもアイは起きない。苛立ちと共に念を込めた五指をアイの頸動脈に当てる。新入りには流星街から離れた仕事を任せているので最速で終わらせても当分は戻ってこないだろう。ちらりと床を見渡せばシズク達が持ってきた見舞いの品に抑えていた感情がざわつく。どいつもこいつも目が悪いのか。アイは見舞いの品を貰っても喜ぶ人間じゃない。アイは嫌いだが強さだけはまあ買っていた。だから弱り切ったアイに価値なんてない。弱者は淘汰されるべきだと力を込めたその時。
「いい子、いい子」
「お前寝ぼけてるか」
予想外すぎる行動にすっかり毒気が抜かれてしまう。あろう事かアイはワタシの首元に腕を回し抱きついてきた。足を絡まれられたせいか密着がより深くなる。恋人同士がやるようなハグにみるみる怒りが収まっていく。むしろ陽だまりのような穏やかさが全身を包んできたせいか急な眠気が近付いてきた。
「間抜けなアホ面」
至近距離にあるアイの寝ぼけ顔に笑みが溢れてしまう。旅団の誰もこんなにアイと距離が近い人間なんていないだろう。そう思っただけで不思議と優越感に浸れるのはどうしてなのか。ふとアイの唇に指を当てた。ふにりとした感触を私のそこに押し当てる。きっとここには他の団員はおろか団長すらも触れた事ないのだろう。アイに特別な感情を抱く人間は数多く大切に扱うのが当然という暗黙の了解が蜘蛛にはあった。けどワタシはアイを愛するより殺し合って愉しみたい。ワタシの攻撃を喰らって衣服を朱に染めるアイを想像するだけで股間が熱くなる。
真っ当な愛し方なぞ母の胎に置き忘れてきた。宝物を慈しむように愛でるのが世の普通ならあえてワタシは真逆の事をしよう。だってそれがワタシのアイシかた。文句があるなら生まれる環境に言ってほしいね。
「お前の息の根止めるのも心臓潰すのも死に顔見るのもワタシだけ…それとこんなアホ面するのもワタシの前だけにするね」
