キメラアント編
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カルト視点
「うおイメチェンか?」
「敵の糸にやられました「何だよまさか負け「勝ったよ!」
「あははすげー怒ってる」
「後はフェイタンとアイだけか」
「アイが来てないなんて珍しい。手こずっているんだとしてももう帰ってきて良いのに」
「やっぱり二人の死を引き摺っているから動きが悪いんだろ」
「っ〜〜!!うるさい!」
会話を聞きたくなくて大声を出してもボクの気持ちはちっとも晴れない。クモを倒して女王いるであろう場所に着けば他の連中がいるし、フェイタンと女王のレベルが違う戦闘が繰り広げられているのを目の当たりにして虫の居所子が悪い。何よりアイ姉様が戻って来てないのが焦りを生む。こっそりと貼り付けた紙はもう取られているから状況が掴めない。アイ姉様が負けるなんてあり得ないのにもしもを想像しちゃうなんてバカバカバカ!
「一人百面相してもアイは来ない。じっと待っていろ」
ボノレノフの弦楽器のような凛々しい声音が少し気分を落ち着かせる。一息吐こうと目を瞑ったらいつの間にかフィンクスが近くにいた。じろじろ見て何の様?
「お前の姉ちゃんの調子が悪いのはオレらのせいだ。負担をかける気はなかったが背負わせちまった」
「は?」
予想外の謝罪に困惑よりも先に沸々とした感情が出てくる。アイ姉様が他人のせいで調子が悪い?イルミ兄様から話だけは聞いている。アイ姉様の選択のせいで旅団の仲間が死んだとか。まさかと思うが旅団の死が原因でアイ姉様は本調子でないと本気で思っているのか?身体を突き動かす激情に逆らう事なくフィンクスの胸元を締め上げる。なんて愚かな人間。
「思い上がるなよ。アイ姉様がお前ら如きの存在で感情が揺らぐ筈などないんだ。身の程を知れ」
そう、アイ姉様は誰も愛さず何処にも属さず自由気ままに振る舞う神のような存在。一時属した人間が死んだだけで調子が狂う筈があってたまるか!ボクの激高にフィンクスは瞬きを繰り返していたが目線を横に向けた。ボクも釣られて視線を動かす。
「アイ…ねえさま?」
そこは淡く微笑んでいるアイ姉様がいた。周りには霜が降りていた。物腰柔らかそうな印象すら見受けられて力が緩んでしまう。気怠さすら感じさせない足取りでゆっくりとフェイタンと女王の元に向かっていく。ボクも含め誰も止める事はしない。フェイタンも異質なアイ姉様に気付いたのか傘を落とすほどだけ。女王も攻撃の手をやめて現れたアイ姉様を観察している。
「一目見ただけでわかるわ。貴方とても強い人間ね。私に忠誠を誓うなら右腕にしてやっても良いけど」
「それは光栄だ女王様。貴女が私の攻撃を受け止め切れるなら部下になろう」
「うふふ話がわかる人間は好き、よ!」
女王が高く飛んで隠していた尾を鞭のようにしならせる。対してアイ姉様は攻撃体制を取らない。ただ右手を女王に向けて翳しただけだ。
「凍れ」
たった一言で勝負は決まった。アイ姉様の手から出てきた夥しい量の冷気が空中にいた女王を包み込む。反撃する隙すら与えず女王はあっという間に氷像となった。がしゃんと地面に叩きつけられたから中身まで粉々だろう。あまりにも格が違う闘い、いや闘いと呼べる代物じゃない勝負に誰も彼もが無言だった。アイ姉様は静まり返った空気が愉快なのか至極嬉しそうに口角を上げた。
「疲れたね」
誰だ、この人は誰だ。以前までのアイ姉様ならこんなに表情豊かじゃなかった。もっと気怠そうにしていたのに今のアイ姉様は優雅さすら漂う気品溢れるお嬢様だ。
「カルト怪我してない?大丈夫?」
知らない、知らないこんなアイ姉様なんて知らないのに。他人を慮る人じゃないしボクなんかに声掛けないし解釈違いだし全然好きじゃない筈なのに。
「いっぱいすき…」
胸がこんなにも高鳴るのはどうして???
