キメラアント編
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人間死に際になると走馬灯を見ると言うけどこれはどうだろう。花畑にいるらしく百合や桜に紫陽花など様々な種類が咲き誇っている。四季も関係ないからここは黄泉の国なのかしら。
「まだこっちに来るのは早いんじゃない?」
弾かれたように後ろを振り向けばパクノダがいた。困ったように眉を下げているけど腕を広げてくれている。迷わずその中に飛び込む。顔をパクノダの胸に埋めればトクトクと規則正しい音。死んでいるのに心音が聞こえるなんて妙な気分。
「おいおいパクノダばっかりずりいぞ」
いつの間にかパクノダの隣にはウボォーギンがいた。抱き締めるというよりボールをキャッチする姿勢のようだ。勢いを付けて飛び込んでも彼の体幹は少しも崩れない。胸板は今までの男性の中で一番厚い。
「このままアイとずっといてぇな」
「ダメよ。アイは生きなきゃ」
「…二人は怒ってないの?」
上目遣いでウボォーギンとパクノダを見れば二人はきょとんとしていた。私の裏切りを知らないんだろう。知ったらきっとこんな風に仲良くしてくれなくなる。今まで溜め込んでいたモヤモヤが胸中を支配して息が苦しい。
「話しちまえよ。オレ達はアイの本音を聞きたい」
ウボォーギンに背中を押されパクノダに頭を撫でられた。その瞬間押さえ付けていた本音が噴火したかのような体内から溢れる。
「私がクラピカを鎖野郎だともっと前から知っていれば!!誰も死なずに済んだ!!」
違う、私が隠していた醜い本音はこんなんじゃない。身勝手すぎるこれは旅団に対する裏切りだ。だから誰にも言えなかったし話せなかった。
ちらりと目線を上に上げれば二人は目元を緩めていた。無性の優しさに近いそれに最後の砦が崩壊する。
「違うそんなの言い訳にしか過ぎない。私は、私は……」
「仮に鎖野郎がクラピカと知って彼を捕えたとしても…私は出来ない。出来ないんだ。
蜘蛛の一員が殺された。だからヨークシンでクラピカと邂逅した時に彼を始末するのは理に叶っていた。あの時の私は旅団に属していたから仲間を殺した敵を倒すべき、いや倒さなければならなかった。私はクラピカに情があったがそれだけで始末するのを躊躇うほど軟弱ではない。
「私は…弟を悲しませたくなかった…本音はこれだ」
そう、私がクラピカを手にかけなかった最大の理由。それはクラピカが
「アイがとっても家族思いで優しい子だって私だけじゃなくて旅団のみんな知っている。だから私達は貴方を恨んでないわ。団長だってそうよ」
「パクノダの言う通り。アイが鎖野郎を殺せないのは仕方ねえ。つーかオレ達を家族同様の価値に値すると考えてくれるだけですげえ嬉しいんだぜ」
「ほんとう?私の自己勝手な選択で二人は」
パチンと軽い音と共に額に衝撃が走る。どうやらウボォーギンがデコピンをしたらしい。
「言っておくがオレは鎖野郎に敗北しただけだ。それはアイのせいなんかじゃねえ。オレが弱かったから負けた、ただそれだけの話よ。アイが気負う必要なんかどこにもねえ」
「みんなに記憶を共有する決心をつけたのは私の意思よ。アイが鎖野郎を殺したとしても私は占いの通り数日後に死ぬ運命だった。だからアイのせいじゃないわ」
ざあっと風が靡いて花弁達がひらひら散っていく。背負わなくていい、二人に言われたけど私は。思い悩んでいると急な突風が発生して視界が花びらで埋め尽くされてしまう。二人は花弁の嵐に巻き込まれたのか姿が見えない。
「ウボォーギン!パクノダ!」
「長生きしろよアイ。オレより良い男見つけて幸せにな」
「身体に気を付けて。アイ、私たちと一緒にいてくれてありがとう」
「……うん。二人ともありがとう」
