ヨークシン編
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ゼノ目線
アイが旅団に一時加入した日からずっと胸がざわついていた。あのクロロという若僧とイチャイチャしておるのか、婚前交渉は決して認めんと電話しても出ないから余計不安だった。あんなに可愛くてキュートなアイに手を出さない男がいる訳がない。もし手を出そうものなら依頼とは関係なく問答無用で殺すが。故に先ほどヨークシン全体を襲った季節外れの猛吹雪とニュースキャスターが口にした時点でワシは既に外に出ていた。無論シルバをミルキ特製の罠の山に放り込んできてからだが。あやつはアイ絡みになるとすぐ理性を飛ばすからのう。イルミに関しては仕事で外に出ておるのが救いじゃの。あやつはシルバ以上にアイに執着しておるし。万が一若僧とアイが付き合っているのを喋ったら、八つ当たりでヨークシンの住民が半殺しにされるのは間違いないじゃろう。
「こりゃあまた……派手にやったのう」
ヨークシンに辿り着いた時点で天候は戻っていたが街全体にはアイの念が色濃く残っていた。辺り一帯に散らばっている念を追跡するのは骨が折れると多少げんなりしていると、仕事用の電話が鳴り響いた。相手が非通知の時点で妙な胸騒ぎを感じて外れてくれと願ったものだったが。
「ゼノ爺ちゃん、今から言う場所にすぐに来てくれねーか」
電話の相手はキルアだったが他の人物の携帯という事で大体事情は察した。よからぬ事に巻き込まれているだろうとは薄々思っていたが。
「まさかアイが一般人相手に敗北するとは。しかもキルアが幻影旅団相手に挑むとは思いもよらなかったわい」
「あのさゼノ爺ちゃん、この件イルミと親父には内緒にしてくんねえか」
控えめに申し出てきたキルアには悪いがもうそれは叶えられないお願いだ。なんせ先ほど蜘蛛のアジトにいた奇術師の格好をした男がイルミじゃからのう。いくら骨格を変えようともワシにはお見通しだ。何よりワシを見て知らんぷりをした際に漏れ出た念は隠し通せん。まあイルミが迎えに来るのはちいと面倒な匂いがぷんぷんするので、奴はそのまま奇術師を続行してもらいたい。一応シルバにアイを迎えにくるよう頼んでおいたので万が一もない。もしかしたらシルバは先にリンゴーン空港へ来てるかもしれん。伝えられた場所に向かう際にキルアから大体の事情は話して貰った。クルタ族の生き残りが旅団に復讐する為に旅団の長を捕らえた。じゃがその代償としてキルアとその友達が旅団に捕まった。旅団の長を解放しようとしたアイじゃったが、クルタ族の生き残りが知り合いで殺せなかった。まとめるにこんな感じじゃろう。ひとまずアイ]が若僧と喧嘩して街を凍らせたんじゃなくてよかったわい。あの子はたまーに感情が爆発するからのう。胸を撫で下ろしつつ携帯に送られてきた居場所に向かえば、そこにはキルアとその友人と金髪が特徴的な女性がおった。察するにこの女性が幻影旅団じゃろう。キルアとその友人をワシ達の前に歩かせるのは人質としての意味を兼ねているのだろう。ワシの隣を歩くお嬢さんはどこか引け目があるのだろうか。ずっと俯いておったがやがて決心したかのように顔を上げた。
「あのアイのお爺さん、お言葉ですが彼女は敗北してないと思っています。その、彼女は多分「知っておる。それを踏まえて、じゃ。アイの性格がもっと冷酷であればこの結果は招かなかった。ただそれだけの話じゃろうて」
お嬢さんが黙りこむのも無理はない。ワシらが生きる世界は過程ではなく結果が物を言う。どんなに実力があっても任務を失敗すればそれは死を意味する。失敗を招いたのはそやつの自己責任。故にアイが負けたのはあの子が情に弱い部分を突かれて負けた。ただそれだけの話じゃて。
「ねえ、パクノダ達と一緒にいたアイさんってどんな感じだった?」
「え?」
「ゴン、今そんな話する空気じゃないだろ」
「うん、わかってる。でも知りたいんだ、アイさんがどうして旅団といたか。オレはその理由を知りたい」
こちらを向く少年の瞳には邪推な気持ちは一切混じってない。この子は確か以前キルアを連れ戻しにゾルティック家にやってきた子供か。名は確かゴン、ゴン=フリークスといったか。物怖じしない度胸は立派じゃが場合によっては戦闘の火種にもなる。さて結果はいかに。
「そうね・・・アイは気紛れでふらっと現れてはすぐ何処かへ行っちゃう。猫みたいな子だったわ」
「お菓子が大好きだからマチやシズクはよく餌付けをしていたわ。アイがケーキが好きだから私もよく買っていたのよ」
「意外と負けず嫌いな面もあったわ。ゲームをするといつも負けるのに何度も挑むから。機嫌を損ねそうになるといつもシャルナークがわざと負けてたのよ」
予想通り結果は後者だったか。お嬢さんは少しだけ声のトーンを明るくしているのにキルアも察したのじゃろう。アイは自身では気付いてないが、人を惹きつける力がある。幻影旅団も例外じゃなかったのだろう。金髪のお嬢さんは友達と遊ぶように朗らかに語っている。アイの今後を考えると生かしたい、出来ればずっと友達でいてほしい人物じゃが。現実はいかに残酷だとワシはよーく知っておる。
「アイのお爺さん、これを」
お嬢さんがポケットから取り出したのは新品の口紅だ。どこか見覚えがあるのを。そういえばキキョウが見せてくれた雑誌に載ってあった品じゃ。確か超有名ブランドの中でも滅多に手に入らない品だと熱く語っていたのを薄っすら覚えている。
「生憎ワシは女物を受け取らない主義じゃ。例えそれが孫に渡すものであってもな。それは自分の手で渡しなさい」
ワシの言葉にお嬢さんは淡く微笑んだ。既にお嬢さん自身も覚悟を決めているのだろう。これから向かう場所が自身の棺桶となり、もうまもなく死ぬのだという事を。孫の未来を考えればお嬢さんの事情に介入するのはいとも容易い。じゃがリスクを冒してまで救う人間ではない。アイがワシの判断を知れば酷いと罵るのだろうか、それとも普段通りに「そうか」ですませるんじゃろうが。
今後の行き先を決めるかのようにぽつりと冷たい液体が鼻に当たった。
アイが旅団に一時加入した日からずっと胸がざわついていた。あのクロロという若僧とイチャイチャしておるのか、婚前交渉は決して認めんと電話しても出ないから余計不安だった。あんなに可愛くてキュートなアイに手を出さない男がいる訳がない。もし手を出そうものなら依頼とは関係なく問答無用で殺すが。故に先ほどヨークシン全体を襲った季節外れの猛吹雪とニュースキャスターが口にした時点でワシは既に外に出ていた。無論シルバをミルキ特製の罠の山に放り込んできてからだが。あやつはアイ絡みになるとすぐ理性を飛ばすからのう。イルミに関しては仕事で外に出ておるのが救いじゃの。あやつはシルバ以上にアイに執着しておるし。万が一若僧とアイが付き合っているのを喋ったら、八つ当たりでヨークシンの住民が半殺しにされるのは間違いないじゃろう。
「こりゃあまた……派手にやったのう」
ヨークシンに辿り着いた時点で天候は戻っていたが街全体にはアイの念が色濃く残っていた。辺り一帯に散らばっている念を追跡するのは骨が折れると多少げんなりしていると、仕事用の電話が鳴り響いた。相手が非通知の時点で妙な胸騒ぎを感じて外れてくれと願ったものだったが。
「ゼノ爺ちゃん、今から言う場所にすぐに来てくれねーか」
電話の相手はキルアだったが他の人物の携帯という事で大体事情は察した。よからぬ事に巻き込まれているだろうとは薄々思っていたが。
「まさかアイが一般人相手に敗北するとは。しかもキルアが幻影旅団相手に挑むとは思いもよらなかったわい」
「あのさゼノ爺ちゃん、この件イルミと親父には内緒にしてくんねえか」
控えめに申し出てきたキルアには悪いがもうそれは叶えられないお願いだ。なんせ先ほど蜘蛛のアジトにいた奇術師の格好をした男がイルミじゃからのう。いくら骨格を変えようともワシにはお見通しだ。何よりワシを見て知らんぷりをした際に漏れ出た念は隠し通せん。まあイルミが迎えに来るのはちいと面倒な匂いがぷんぷんするので、奴はそのまま奇術師を続行してもらいたい。一応シルバにアイを迎えにくるよう頼んでおいたので万が一もない。もしかしたらシルバは先にリンゴーン空港へ来てるかもしれん。伝えられた場所に向かう際にキルアから大体の事情は話して貰った。クルタ族の生き残りが旅団に復讐する為に旅団の長を捕らえた。じゃがその代償としてキルアとその友達が旅団に捕まった。旅団の長を解放しようとしたアイじゃったが、クルタ族の生き残りが知り合いで殺せなかった。まとめるにこんな感じじゃろう。ひとまずアイ]が若僧と喧嘩して街を凍らせたんじゃなくてよかったわい。あの子はたまーに感情が爆発するからのう。胸を撫で下ろしつつ携帯に送られてきた居場所に向かえば、そこにはキルアとその友人と金髪が特徴的な女性がおった。察するにこの女性が幻影旅団じゃろう。キルアとその友人をワシ達の前に歩かせるのは人質としての意味を兼ねているのだろう。ワシの隣を歩くお嬢さんはどこか引け目があるのだろうか。ずっと俯いておったがやがて決心したかのように顔を上げた。
「あのアイのお爺さん、お言葉ですが彼女は敗北してないと思っています。その、彼女は多分「知っておる。それを踏まえて、じゃ。アイの性格がもっと冷酷であればこの結果は招かなかった。ただそれだけの話じゃろうて」
お嬢さんが黙りこむのも無理はない。ワシらが生きる世界は過程ではなく結果が物を言う。どんなに実力があっても任務を失敗すればそれは死を意味する。失敗を招いたのはそやつの自己責任。故にアイが負けたのはあの子が情に弱い部分を突かれて負けた。ただそれだけの話じゃて。
「ねえ、パクノダ達と一緒にいたアイさんってどんな感じだった?」
「え?」
「ゴン、今そんな話する空気じゃないだろ」
「うん、わかってる。でも知りたいんだ、アイさんがどうして旅団といたか。オレはその理由を知りたい」
こちらを向く少年の瞳には邪推な気持ちは一切混じってない。この子は確か以前キルアを連れ戻しにゾルティック家にやってきた子供か。名は確かゴン、ゴン=フリークスといったか。物怖じしない度胸は立派じゃが場合によっては戦闘の火種にもなる。さて結果はいかに。
「そうね・・・アイは気紛れでふらっと現れてはすぐ何処かへ行っちゃう。猫みたいな子だったわ」
「お菓子が大好きだからマチやシズクはよく餌付けをしていたわ。アイがケーキが好きだから私もよく買っていたのよ」
「意外と負けず嫌いな面もあったわ。ゲームをするといつも負けるのに何度も挑むから。機嫌を損ねそうになるといつもシャルナークがわざと負けてたのよ」
予想通り結果は後者だったか。お嬢さんは少しだけ声のトーンを明るくしているのにキルアも察したのじゃろう。アイは自身では気付いてないが、人を惹きつける力がある。幻影旅団も例外じゃなかったのだろう。金髪のお嬢さんは友達と遊ぶように朗らかに語っている。アイの今後を考えると生かしたい、出来ればずっと友達でいてほしい人物じゃが。現実はいかに残酷だとワシはよーく知っておる。
「アイのお爺さん、これを」
お嬢さんがポケットから取り出したのは新品の口紅だ。どこか見覚えがあるのを。そういえばキキョウが見せてくれた雑誌に載ってあった品じゃ。確か超有名ブランドの中でも滅多に手に入らない品だと熱く語っていたのを薄っすら覚えている。
「生憎ワシは女物を受け取らない主義じゃ。例えそれが孫に渡すものであってもな。それは自分の手で渡しなさい」
ワシの言葉にお嬢さんは淡く微笑んだ。既にお嬢さん自身も覚悟を決めているのだろう。これから向かう場所が自身の棺桶となり、もうまもなく死ぬのだという事を。孫の未来を考えればお嬢さんの事情に介入するのはいとも容易い。じゃがリスクを冒してまで救う人間ではない。アイがワシの判断を知れば酷いと罵るのだろうか、それとも普段通りに「そうか」ですませるんじゃろうが。
今後の行き先を決めるかのようにぽつりと冷たい液体が鼻に当たった。
