ヨークシン編
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レオリオ目線
「な、なんじゃこりゃ……」
強制的に車から降ろされ視界に移った景色に開いた口が塞がらない。なんせ梅雨だというのに数メートル先も見えない程外は吹雪いていた。一面銀世界とはまさにこの事だろう。慌てて携帯のラジオの電波を入れて状況を確認しようとしたが圏外となっていた。電波が入らないほど吹雪が強いのだろう。この惨状にクラピカやセンリツも言葉が出ずにただ突っ立っているだけだ。
天候を書き換えられる程の実力者に敵う訳がない。アイさんとの実力差に僅かにビビってしまい後退りした。
その刹那
「うおっ!」
「レオリオ!」
「こいつは人質だ。動けばこいつを殺す」
首元に刃物のような切先が当てられ身動きが出来ない。怯んだ僅かの一瞬にアイさんに捕まってしまったのだ。身長差があるというのに一段とアイさんが大きく感じる。捕まってしまった己の不甲斐なさを反省するのは後だ。今はただクラピカが攻撃を出来るように隙を作れ!
「随分と派手な景色を作るじゃねーか。氷河期の再来でもしたかったのか?」
「人質が許可なく喋るな。クラピカ、クロロを渡せ」
「ふざけるな!断るに決まっている!!」
拳銃を向けたあの時に既にオレは死んでいた。着弾しようがしないがあの人を倒せるはずがない。呆気なく反撃されるのがオチであるし、その場から逃げ切れても一般人のオレが暗殺者から逃げ仰る手段はない。
けれどもあの時、アイさんは深追いをしなかった。それはオレが仲間だったから見逃してくれたからだろう。だから今回もクラピカを殺せる訳がない、彼女の良心にオレは賭けるぜ!
「クラピカはお前の挑発に乗らねーよ。幻影旅団を壊滅するまでは止まらねえ。それが分かったらこんな馬鹿な真似はよ、」
ザクッ
土を掘るような間抜けな音が耳に届いた。工事でもしてるのかと首を傾げようとした際、右の手の甲に何かが突き刺さっているのに意識を向ける。鋭利な刃物のように細長い氷柱はオレの手の甲に半分くらい埋まっていた。奇跡的に骨を避けてはいるものの、ジワジワとした痛みが全身を襲い始めてきた。ああ、まったくオレはなんてバカな奴だ。
「動くな、と言ったはずだが?」
「レオリオ!」
「あ、安心しろよセンリツ。大した傷じゃねーから」
地面に崩れ落ちそうな程の激痛に襲われるが、痩せ我慢で無理やり平気なフリをする。念も使えないオレがクラピカの足引っ張ってどうする!かつての仲間なのにアイさんは。いいやアイは。躊躇いもなく、氷柱をオレの腕に刺してきた。そして今、クラピカに向かって凄まじい殺気を向けていた。これでは勝負があまりにも明白すぎる。仮にクラピカが勝負を挑んだにせよ一瞬で決着はつく。先に幻影旅団の長を殺そうとすればアイは即座にクラピカの首を刎ね飛ばす。残酷で非情なる暗殺者、今目の前にいるのはそういう女だ。クソッタレ!!どう考えても圧倒的にクラピカに勝ち目がねえじゃねえか!!
途方もない悔しさで唇を噛み締めてしめているとふと違和感に気づいた。アイの目線は何処か彷徨っており、クラピカに焦点が合っていない。体幹が弱くなっているのかゆらゆらと身体が揺れており、地に足がついてないように見受けられる。
まさか。オレは期待を抱いてアイに向けて指を何本か立てた。
「これ何本に見える?」
「…バカにするなよ三本だろ」
ピースサインをしたオレの手をたっぷり見つめて[アイは答えた。よくよく考えてみれば至極当然のことだ。天候を操るほどの強大な氷結能力がデメリットなしに扱えるはずがない。必ず使い手に凄まじい反動が来るだろう。定まらない焦点、ふらつく足元、霜を纏った身体から導き出される病名。
間違いない、アイは自分の念のせいで重度の低体温症に陥っている。
これは一世一代のチャンスじゃないか?このまま時間稼ぎをしちまえば症状は悪化して直にアイは死ぬ。そうすればクラピカの復讐は果たされるだろう。けどそれを知ったキルアはどうなる?姉貴を大切だと口にするあいつの期待をオレは…
「わりぃ、クラピカ。オレにはとても出来ねえよ…」
アイをとても慕っているキルアの心情を考えてしまうと時間稼ぎなんて残酷な手段は取れない。クラピカもオレと同じ見解に至ったのだろう。判断に迷っているのか頬に伝う汗が凍っている。恐らく冷や汗だろう。
オレはどうしたらいい。
「鎖野郎に一つ教えといてやる。アイは幻影旅団の一員じゃない」
「は?」
途方もない沈黙を破ったのはまさかの人物、幻影旅団の長だった。どこか清々しさすら感じる。は?一体全体どうなっていやがる。まさかの人物からの否定にアイも目を吊り上げていた。
「散々仲間扱いしておいて今更突き放すの?借りを返すまで私は一時的に旅団の団員だ」
その言葉にクラピカは怒りを取り戻したのか、再び目の色に紅が戻っていく。よしオレもこの混乱に乗じて、もう一発喰らわせてやる…!!痛みが走る腕を無理やり動かそうとすると、急に指の感覚が消えた。というか身体を厳重に拘束されているような感覚に陥る。首から下がまったく動かない。
「自分の身体を割りたくなければお前は動くな。さあクラピカ、一刻も早くクロロを解放しろ。さもなければレオリオの首を飛ばす。それでも解放しないなら次はそこの女性を殺す」
恐る恐る目線だけ下に動かす。飛び込んできた現実に吐き気が込み上げてくる。今、オレの首から下は分厚い氷で覆われている。急いで解凍しないとオレは凍死してしまう。パニックになりそうなるのを押し殺して、痩せ我慢で無理やり笑顔を作る。
「へっ、随分と残虐な仕打ちじゃねえの。仲間の癖に慈悲が一欠片も感じねえな」
「仲間?私と君はハンター試験を共にした同志、それ以下でも以上でもない。それはクラピカも同様だ」
かつてハンター試験で共にしたアイの面影はどこにもない。そこでようやくオレは思い知った。今のこいつは幻影旅団の一員で、旅団以外は心底どうでも良いのだ。どんなに魂を込めた叫びでも、旅団の一味であるアイには届かない。
どんなに死力を尽くしてもクラピカはアイには敵わない。もう、このままでは。
「もういい。殺気を収めろ、アイ」
予想だにしない声の主にオレもセンリツもクラピカも目を見開く。アイに至っては戸惑いのあまりふらつく程だ。それもそのはず、命令を出したのは何を隠そう幻影旅団の団長だ。そいつはリラックスでもしているのか心底穏やかな顔付きだ。まるで子供の悪戯を許す寛容な親のようなそんな印象を見受けられる。一体、何を企んでやがる。睨みつけるオレに対して瞬き一つで返したそいつは、ゆっくりと口を開いた。
「アイ、命令だ。念を解除しろ」
「な、なんじゃこりゃ……」
強制的に車から降ろされ視界に移った景色に開いた口が塞がらない。なんせ梅雨だというのに数メートル先も見えない程外は吹雪いていた。一面銀世界とはまさにこの事だろう。慌てて携帯のラジオの電波を入れて状況を確認しようとしたが圏外となっていた。電波が入らないほど吹雪が強いのだろう。この惨状にクラピカやセンリツも言葉が出ずにただ突っ立っているだけだ。
天候を書き換えられる程の実力者に敵う訳がない。アイさんとの実力差に僅かにビビってしまい後退りした。
その刹那
「うおっ!」
「レオリオ!」
「こいつは人質だ。動けばこいつを殺す」
首元に刃物のような切先が当てられ身動きが出来ない。怯んだ僅かの一瞬にアイさんに捕まってしまったのだ。身長差があるというのに一段とアイさんが大きく感じる。捕まってしまった己の不甲斐なさを反省するのは後だ。今はただクラピカが攻撃を出来るように隙を作れ!
「随分と派手な景色を作るじゃねーか。氷河期の再来でもしたかったのか?」
「人質が許可なく喋るな。クラピカ、クロロを渡せ」
「ふざけるな!断るに決まっている!!」
拳銃を向けたあの時に既にオレは死んでいた。着弾しようがしないがあの人を倒せるはずがない。呆気なく反撃されるのがオチであるし、その場から逃げ切れても一般人のオレが暗殺者から逃げ仰る手段はない。
けれどもあの時、アイさんは深追いをしなかった。それはオレが仲間だったから見逃してくれたからだろう。だから今回もクラピカを殺せる訳がない、彼女の良心にオレは賭けるぜ!
「クラピカはお前の挑発に乗らねーよ。幻影旅団を壊滅するまでは止まらねえ。それが分かったらこんな馬鹿な真似はよ、」
ザクッ
土を掘るような間抜けな音が耳に届いた。工事でもしてるのかと首を傾げようとした際、右の手の甲に何かが突き刺さっているのに意識を向ける。鋭利な刃物のように細長い氷柱はオレの手の甲に半分くらい埋まっていた。奇跡的に骨を避けてはいるものの、ジワジワとした痛みが全身を襲い始めてきた。ああ、まったくオレはなんてバカな奴だ。
「動くな、と言ったはずだが?」
「レオリオ!」
「あ、安心しろよセンリツ。大した傷じゃねーから」
地面に崩れ落ちそうな程の激痛に襲われるが、痩せ我慢で無理やり平気なフリをする。念も使えないオレがクラピカの足引っ張ってどうする!かつての仲間なのにアイさんは。いいやアイは。躊躇いもなく、氷柱をオレの腕に刺してきた。そして今、クラピカに向かって凄まじい殺気を向けていた。これでは勝負があまりにも明白すぎる。仮にクラピカが勝負を挑んだにせよ一瞬で決着はつく。先に幻影旅団の長を殺そうとすればアイは即座にクラピカの首を刎ね飛ばす。残酷で非情なる暗殺者、今目の前にいるのはそういう女だ。クソッタレ!!どう考えても圧倒的にクラピカに勝ち目がねえじゃねえか!!
途方もない悔しさで唇を噛み締めてしめているとふと違和感に気づいた。アイの目線は何処か彷徨っており、クラピカに焦点が合っていない。体幹が弱くなっているのかゆらゆらと身体が揺れており、地に足がついてないように見受けられる。
まさか。オレは期待を抱いてアイに向けて指を何本か立てた。
「これ何本に見える?」
「…バカにするなよ三本だろ」
ピースサインをしたオレの手をたっぷり見つめて[アイは答えた。よくよく考えてみれば至極当然のことだ。天候を操るほどの強大な氷結能力がデメリットなしに扱えるはずがない。必ず使い手に凄まじい反動が来るだろう。定まらない焦点、ふらつく足元、霜を纏った身体から導き出される病名。
間違いない、アイは自分の念のせいで重度の低体温症に陥っている。
これは一世一代のチャンスじゃないか?このまま時間稼ぎをしちまえば症状は悪化して直にアイは死ぬ。そうすればクラピカの復讐は果たされるだろう。けどそれを知ったキルアはどうなる?姉貴を大切だと口にするあいつの期待をオレは…
「わりぃ、クラピカ。オレにはとても出来ねえよ…」
アイをとても慕っているキルアの心情を考えてしまうと時間稼ぎなんて残酷な手段は取れない。クラピカもオレと同じ見解に至ったのだろう。判断に迷っているのか頬に伝う汗が凍っている。恐らく冷や汗だろう。
オレはどうしたらいい。
「鎖野郎に一つ教えといてやる。アイは幻影旅団の一員じゃない」
「は?」
途方もない沈黙を破ったのはまさかの人物、幻影旅団の長だった。どこか清々しさすら感じる。は?一体全体どうなっていやがる。まさかの人物からの否定にアイも目を吊り上げていた。
「散々仲間扱いしておいて今更突き放すの?借りを返すまで私は一時的に旅団の団員だ」
その言葉にクラピカは怒りを取り戻したのか、再び目の色に紅が戻っていく。よしオレもこの混乱に乗じて、もう一発喰らわせてやる…!!痛みが走る腕を無理やり動かそうとすると、急に指の感覚が消えた。というか身体を厳重に拘束されているような感覚に陥る。首から下がまったく動かない。
「自分の身体を割りたくなければお前は動くな。さあクラピカ、一刻も早くクロロを解放しろ。さもなければレオリオの首を飛ばす。それでも解放しないなら次はそこの女性を殺す」
恐る恐る目線だけ下に動かす。飛び込んできた現実に吐き気が込み上げてくる。今、オレの首から下は分厚い氷で覆われている。急いで解凍しないとオレは凍死してしまう。パニックになりそうなるのを押し殺して、痩せ我慢で無理やり笑顔を作る。
「へっ、随分と残虐な仕打ちじゃねえの。仲間の癖に慈悲が一欠片も感じねえな」
「仲間?私と君はハンター試験を共にした同志、それ以下でも以上でもない。それはクラピカも同様だ」
かつてハンター試験で共にしたアイの面影はどこにもない。そこでようやくオレは思い知った。今のこいつは幻影旅団の一員で、旅団以外は心底どうでも良いのだ。どんなに魂を込めた叫びでも、旅団の一味であるアイには届かない。
どんなに死力を尽くしてもクラピカはアイには敵わない。もう、このままでは。
「もういい。殺気を収めろ、アイ」
予想だにしない声の主にオレもセンリツもクラピカも目を見開く。アイに至っては戸惑いのあまりふらつく程だ。それもそのはず、命令を出したのは何を隠そう幻影旅団の団長だ。そいつはリラックスでもしているのか心底穏やかな顔付きだ。まるで子供の悪戯を許す寛容な親のようなそんな印象を見受けられる。一体、何を企んでやがる。睨みつけるオレに対して瞬き一つで返したそいつは、ゆっくりと口を開いた。
「アイ、命令だ。念を解除しろ」
