ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『彼らの暗い瞳が無念だと語りかけてくる。私は必ず幻影旅団を捕え仲間たちの目を全て取り戻すんだ!!』
欠けていたパズルのピースが、見る見るうちに当てはまっていく。緋の眼、クルタ族、ウボォーギンを殺した鎖野郎の正体。
そうだ、緋の眼を持って旅団を恨む人物はクラピカだ。なんでこんな重大な記憶忘れていたんだろう。
動揺したせいかレオリオを逃がしてしまったが、どうでもいい。すぐにマチ達にこの事を伝えなきゃ!!暗闇に目が慣れる前に、灯りが復旧したのか視界が晴れる。マチ達の元に駆け寄ると、銃痕を指摘されたが今はそんな事は後だ。
だってクロロが、クロロがいない。この状況からして導かれるのはたった一つ。鎖を扱うクラピカに囚われたのだ。
「パクノダ、私の記憶を」
「いいえ、その必要はないわ」
念能力を指示する前にパクノダが一枚の紙きれを手渡してきた。至って書いてある内容はシンプルだ。
「チッ!」
拘束されているゴン達とパクノダの表情で全てを察した。クラピカの情報を伝えればクラピカは否応なくクロロを殺すだろう。
「二人の記憶、話せば殺す。アイは私の正体を話せば頭を殺す。キルア…鎖野郎の正体知ってたね?」
「ああ。初めっからな」
「ちょっと。二人だけで話進めないで」
マチに遮られてしまったけど私はこれ以上話せない。下手に情報を漏らすと人質となっているクロロが死ぬ。どうにか言葉を選んでいると、外にいたフィンクスたちが戻ってきた。
「アイ、お前‥‥‥」
「大した傷じゃない」
「みともないね。これで抑えてろ」
フェイタンから渡されたハンカチを腹に当てる。既に念で止血をしているが、腹部からの出血は止まらないのだ。どんどん赤くなっていく布が、焦りを現しているみたいでどうにも落ち着かない。
「団長からだ」
フィンクスの携帯から着信音が鳴っているが、相手はクロロではない。しばし問答を挟んだ後、フィンクスが携帯から耳を離した。
「こんのドアホっ!」
「いでえっ!!」
緊迫したこの状況でゴンとキルアを骨折させたとか嘘つくんじゃない。フィンクスに拳骨を落としていると、通話していたパクノダが携帯を渡してきた。代われって事は何かしら要求があるんだろうか。
「もしも「団員から聞いたはずだ。二人に手を出せば人質は殺す。追っ手の存在をこちらが確認した時点で人質の命はない」
「随分強気に来るね。一族を殲滅した恨みとやらはそこまで大きいのか。全く理解し難い感情だよ」
「私を揺さぶろうとしても無駄だ。貴女の処遇に関しては既に結論がついている」
「へえ?」
「ゾルティック家の事情を考慮し命までは奪わない。ハンター試験を共にした絆もあるから見逃してやる。だがそれを承知で追って来るなら…私は躊躇いなくお前を殺す」
電源が切れると同時に、今まで感じた事もない感情がみるみるうちに湧き上がる。命までは奪わない、それはつまり舐められている。優れた念の使い手ではないひよっこ同然の男に、この私が。
ゾルティック家長女であるこの私がただの念の使い手に情けをかけられている、なんて。最大級の侮辱に値するだろう。
「随分と甘く見られたものだ」
込み上げる憤怒と連動するように、オーラが莫大に増大するのを感じる。冷気がロビーを包み込みエントランスの温度がみるみるうちに下がってくるが、知ったことか。ロビーを出ようとしたらフィンクスが肩を掴んできた。
「一旦頭を冷やせアイ]!ここで追っても団長の命が危険に晒されるだけだ」
「じゃあクラピカの指示をひたすら待てと?既にクロロは遺体の状態かもしれないのに?私はそんなのごめんだね」
「だからって単独で乗り込むのは相手の思う壺だろ!」
「いい?フィンクス。不本意だけど今のクロロは私の依頼主。受けた依頼は気が乗らなくても遂行する、それがゾルディック。そしてクロロと契約した内容には彼の安否は含まれている。つまり私が飛び出すのは理に適ってるんだよ」
理屈が通った意見のはずなのに、何故か生温い液体が唇を伝っていた。いつになく激怒しているフィンクスは、パクノダの介入を振り切りもう一発私の顔を殴り胸倉を掴んできた。
「冷静になれアイ!!今のお前は暗殺者じゃなくて旅団なんだよ!!蜘蛛の一員なら”掟”を遵守しやがれ!!」
「寝言は寝て言え!私はゾルディック=アイだ!!」
「っつ!!あ、おい!!待て!!アイ!!」
咄嗟に頭突きをお見舞いし怯んだフィンクスの隙をつき、一目散にホテルを飛び出す。未だ雨は降り続けているし、辺りは暗くなっている。日中と比べると人探しには最悪の条件だろう。だがクラピカの取った逃走手段は想像がつく。
建物を飛び越え高速道路の入り口に着地し、出口までの距離を確認する。
「っ!!危ねえな道路の真ん中で突っ立てんじゃねえぞ!!」
危うく轢きそうになったからか、チンピラが車から降りて怒鳴って来るが今はどうでもいい。ホテルベーチタクルから一番近い高速道路はここだ。この先にいる何処かの車にクロロはいるのだろう。ごちゃごちゃとうるさいチンピラの息の根を止め、道路に掌をくっつけ意識を極限まで集中させる。
今から最大火力で「
だが強大な念を扱うには必ずデメリットがある。ヨークシンを覆う程の氷結を使えば重度の低体温症になるのは免れない。最悪身体の一部が壊死する可能性だってある。知り合い一人救出するためだけに私は己の命を賭ける。仮に家族の誰かが私の判断を聞いたら、すぐさま家に連れ戻すぐらいの愚かな判断だろう。
『改めて名乗るがオレは幻影旅団団長のクロロ・ルシルフル。ゾルディック=アイ。今からお前を一時的に幻影旅団の一員としてオレが認めよう』
そこまでしてクロロを助ける理由はたった一つ。だって私は幻プリンの借りをまだクロロに返し終わっていない。ただそれだけ。
『髪濡れたまま出歩くなと言っているだろう。乾かしてやるからそこに座れ』
ないんだ、理由なんて他にないんだ。
『野菜を避けてばかりだとデザート出してやらないぞ』
うるさい。お前は記憶の一部にしか過ぎない。とっとと口を閉じてくれ。
『ねえ、オレと約束して。オレといる時以外でそんな無防備に過ごさないこと。アイは可愛いから勘違いした男が襲ってきちゃう』
クロロは知り合いでそれ以外でも以下でもない。彼を失ってもさほど感情が動かない程度の人間のはずなのに。
「全て氷で覆い尽くせ
クロロがいなくなった万が一を考えると呼吸が出来なくなるのはなんでだ。
