ヨークシン編
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目的地であるホテルベーチタクルに到着し、鎖野郎の情報収集をしているパクノダ達を待つ。待っている間近くのコンビニに一人で向かい、数枚のタオルを買い数枚をマチ達に渡す。濡れ鼠にいる弟をほったらかすのもあれなので、少し強めにゴンとキルアの頭を拭いてやる。
「人質相手に十分優しいんだな。オレだったら放っておくのに。っ!いってえっ!!」
「生意気な口聞ける立場?拘束されてるのに我が弟ながら強気だねえ…っと、ん?」
二人がとある方向に目を向けている。驚愕した顔となっているから顔見知りでもいたんだろうか。
「あ?何見てんだゴラアッ!!見せもんじゃねーぞ!!」
……良識ある若者からチンピラへと下るとは。人って何が起こるがよくわからないものだ。
「消します?」
「放っておけ。目を合わすな…、おいどこに行く」
「ちょっと知人に注意しに」
真正面のソファにふんぞり返り電話をしているのはレオリオだった。捕らえられているキルアやゴンに気付いていないのか、こちらを気にする素振りを一切見せない。余程通話相手が気に喰わないのだろう。ロビー中に伝わるくらいの大声で怒鳴っている姿は、完全にチンピラにしか見えない。あれで20歳を超えていないんだから世間は広いこと。テーブルの横に立ち、軽く手を振ればレオリオはようやく私と視線を合わせた。だが電話は切らず依然として通話を続け、脅しに近い催促をしそこでようやく通話を切った。
「荒々しい口調と言い短気なその性格。ハンター試験から君は変わってない。死に向かって突っ走る馬鹿な人間だ」
「誉めてんすかそれ」
「さあ?どうだろう。君みたいな人間初めて出会ったし」
言葉を濁した私の言葉の意味を理解しきれなかったのかレオリオは押し黙った。すぐ近くにいるゴンとキルアについて聞いてこないって事は、二人とはもう縁を切っているんだろうか。取り留めもない事を考えていると、ロビーに向かってきたのは見覚えのある三人組に目が止まる。
さて、早速パクノダに鎖野郎の情報教えてもらおうっと。
「じゃあねレオリオ。また今度」
「!ちょ、ちょっと待ってくれ!!三分間だけ時間をくれ!!」
キルア達の所に向かおうとすると、急に手首をがっしりと掴まれてしまう。目線を下に動かすと、レオリオは血相を変えて私を凝視していた。ああ、キルア達と縁が切れていなかったのか。
理解できない安堵感に包まれていると私を回収しに来たのか、ノブナガがやってきた。
「おいアイ。そんな一般人殺してとっととこっち来いよ」
「19時になったらそっちに行くからちょっと待ってて」
「あ?こいつアイのなに」
「ちょっとした知り合い。久々の再会だから少しくらいいいでしょ」
「けっ!!数年ぶりにオレと会った途端、顔をしかめていたくせに。こんな男のどこがいいんだか」
謎の文句をぶつくさ呟きながらも割と素直にノブナガはキルア達の方へ走って行った。多分ゴンと話したいんだろう。以前アジトに連れてこられた時の話でゴンを旅団に入れるって楽しそうにしていたし。回想にふけっているとレオリオに名前を呼ばれているのに気付いた。今まで変顔しか見た事なかったけど、レオリオって結構顔が整っているよね。
「疲れているなら少し横になった方が良いですよ。それにアイさん怪我してないですか?血の匂いがします。試しに腕を見せてください、手当てするんで」
横に座ってくださいと指示されたので言われるがままに座る。言われるがままに服をめくると上腕から血が流れていた。どこか木の枝とかに引っ掻けたのだろう。レオリオは自前のバックから包帯と消毒液を取り出すと勝手に手当てを始めた。
「随分と手際が良いな」
「医者志望なんで。一応初対面で教えたと思うんすけど忘れてました?」
「そうだね。興味がない記憶は全て忘れるから。聞いたとしてもその時は君に欠片も興味が湧かなかったんだろう」
「………あの、オレ色々アイさんに言いたいことはあります。どうして旅団に入ったのかとか。ゴンとキルアを助けてくれないんすか、とか。けど一番言いたいのは……」
レオリオはゆらりと立ち上がった。殺気を纏っているが別に彼程度の実力者ならどうにでもなる。そのまま座っていたままレオリオを観察する。彼が胸元に手を入れたタイミングで時報が「夜19時です」と告げた。
バアンッ
突然視界が黒に隠されレオリオの輪郭すら捉えられない。困惑していると耳元で風船が割れたような音が鼓膜を襲った。破裂音だと気づいたタイミングで妙な匂いが火薬を破裂させたかのような焦げ臭い香り、まさか!
じわじわと熱が広がるような痛みが肩と腹を中心に広がっていく。この痛みはもしかしなくとも。
「仲間の過去を忘れてんじゃねーぞ!このボケナスがっ!!」
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