ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
居残り組と鎖野郎を追う組に別れる事となった。無論私は鎖野郎を追う組だ。
「うげえっ、まだ止んでない」
今朝と同じ天候のせいで雨が降っているのが実に鬱陶しい。しかもかなり大きめの雨粒だ。傘を持ってきてないのを後悔しつつ、小走りになりながら電車に乗る。久々に乗るけど帰宅ラッシュの時間なのか人が多くてうんざり。
「おやおやアイ様お疲れですか?」
「ノブナガの顔がうるさくてもうぐったり」
「ハ!言うね〜」
苛立っていた朝とは違い上機嫌なノブナガは、揺れるから掴まれよと腕を組むように言ってきた。機嫌治ったならいいけどそれはそれでうるさいな。遠慮なくノブナガに寄りかかると重いと文句を言われた。っち、体重増えたのバレたか。
数十分かけてホテルベーチタクルの最寄駅に到着した。改札を通り抜ける前にもう一度後ろを振り向く。誰かに尾行されている気がするけど全然気配が掴めない。余程の手練れか?
「アイがピリピリしてるなんて珍しい。尾行されてるの?」
「わかんない。人混みのせいで音が拾いにくいし相手も絶を使っているからか全然気配掴めない。割と手練かも」
「そうか油断せずに行くぞ」
駅を出た瞬間、コルトピが動いたと呟く。十中八九
「走るぞ」
その一言でクロロは厳かに命令を出した。人混みを移動したくないので目立つだろうが壁伝いに走りコルトピの後を追う。地面で走ろうよとシズクが誘ってくるが、今はこのままがいい。
もう少し、もう少しで
『オレがアイを守ってやるよ』
「うっそでしょ」
見覚えのある気配を察知したせいのもあってか足を滑らせ地面に転がり落ちてしまう。ハァ、こんな所に来るなんて…ショックで座り込んでいるとクロロが立たせてくれた。今いる場所は人通りが多い往来なのもあってか、電気もあってかやけにクロロが眩しく感じる。私の濡れた前髪を撫で付けたクロロは、黒曜石の瞳を向けていた。
全てを呑み込むブラックホールのような瞳を持つ男から逃れる術は。
「アイの心を掻き乱すのは誰だ?」
「………ゴミ箱の後ろ」
「了解。アイは団長と一緒にいて。言っとくけど身内だろうと私は手加減はしないから」
「アイ」
追跡者をどうするかなんて決まっている。例え弟だろうと今の私が取るべき行動はただ一つ。
「わかってる」