ヨークシン編
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ゴン目線
クラピカがキルアに選択を迫っていた。
アイさんを殺すか、殺さないか。
オレとしてはキルアに実のお姉さんを殺させたくない。でも本当にアイさんが蜘蛛に所属しているのなら、クラピカの気持ちも痛いほどわかってしまう。くそう、オレはどっちの味方をすればいいんだ…!!
ピロピロピロ
緊迫する空気を壊すように携帯が鳴っている。音の出所はキルアのポケットからだ。
「悪いゴン。オレの代わりに出てくれないか?」
「あ、うん」
キルアに手渡された携帯を耳に当て通話ボタンを押す。
「もしもしキルア?アイについて言い忘れてた事があって」
「アイに関する情報!?」
「なんだゴンか。オレはキルアと話したかったんだけど」
通話相手がイルミだろうと今はそんな事どうだっていい。この状況を打破できるような情報なら少しでも欲しい!!急かせばイルミは隠す事なく大きめの舌打ちをした。
「キルアの声を聞きたかったんだけどまあ仕方ない。ゴン、一度しか言わないからよく聞け。アイは幻影旅団のメンバーじゃない」
「え!旅団の死体にアイさんはあったじゃないか!!」
「キンキン声を出すなよ。理由は不明だがアイは一時的に旅団のメンバーに加わっているだけで、正式なメンバーじゃない。そもそもオレがアイを旅団に入れるわけないだろ?少しは頭を動かしなよ。じゃキルアにそれ伝えといて」
一方的に電話が切れたけど欲しい情報は手に入った。イルミの話が事実なら突破口になるかもしれない!!
「兄貴はなんて?」
「実は…」
イルミから伝えられた内容を話すと、今にも壊れそうな空気が多少揺らぐ。キルアも一安心したのか汗が引いたみたいでよかった。オレも一安心したかったけど、レオリオに宥められるクラピカに再び緊張感が走る。
「だからよぉ!アイさんは旅団じゃないから抹殺対象じゃねぇだろ!!」
「…彼女には私の過去を話してある。それを知っててあの人は旅団にいるんだぞ?」
怒りを滲ませたクラピカの意見にレオリオが罰が悪そうな顔を浮かべた。言われてみればアイさんも緋の目を知っているよね。
あれ?じゃあ、なんで。
「一つ質問なんだけど…どうしてアイさんはクラピカに連絡しないのかな」
「どういう意味だ?」
「だってクラピカは旅団のメンバーであるウボォーギンってやつを殺してるんでしょ?一時的なメンバーだとしても仇討ちに来たりしないのかなって」
「確かに!鎖を使う念能力者が分からずともクラピカの過去を知ってりゃあ、仲間の記憶を読むやつに自身の記憶を読ませりゃそこで終わりだもんな」
納得したようなレオリオとは別にクラピカの顔は俄然として厳しい。ずっと黙っていたキルアがおずおずと口を開いた。
「記憶を読ませないじゃなくて読めないんだ。多分…忘れてる。アイはクラピカの過去を完全に忘れているんだと思う」
「え!?うそ!!」
「アイは興味がないなら徹底的に忘れる。ゴンも覚えがあるだろ」
キルアに指摘された通り過去を振り返る。言われてみれば天空闘技場でミトさんについて再度語っていた時。アイさんはジンの名前すら覚えていなかった。
ハンター試験中何度も語ったのに、だ。でも仲間の記憶なんて早々に忘れる筈がない…!!一縷の希望を込めてクラピカを見れば罪状を下す裁判長のように首を振った。
「…キルアの言う通りだ」
「クラピカ!アイさんはそんな人じゃ!」
「じゃあこの現実はどういう意味だ!?彼女は私の過去を忘れ旅団と共にいる!!これが答えだ!!」
「分かった…ならオレはクラピカの味方をする」
「…良いのか?私はアイを殺すぞ」
キルアの味方につく発言にクラピカもレオリオもオレですら目を剥いてしまう。大切にしているお姉さんなのにキルアはそれでいいの?オレと同じく疑心暗鬼になっているクラピカに向けてキルアはにんまりと笑みを向けた。
「させねーよ。クラピカが殺す前にオレが先にアイを捕まえてイルミに引き渡す。イルミの言い分からして恐らく親父達もアイの件は把握済みだ。確実に当分は家から出られない、それはアイにとって一番の苦痛だ。頼むよクラピカ、この作戦ならお前は仲間を殺さずにすむ」
「………」
キルアの訴えにも似た作戦にクラピカはしばらく黙り込んだ。握りしめていた拳を開いては閉じてを何度も繰り返す行為は、心の内に秘めた葛藤を吐き出すかのよう。伏せていた顔を上げたクラピカは親とはぐれた子供のように幼かった。
「……わかった。キルア、お前の案に従おう」
クラピカがキルアに選択を迫っていた。
アイさんを殺すか、殺さないか。
オレとしてはキルアに実のお姉さんを殺させたくない。でも本当にアイさんが蜘蛛に所属しているのなら、クラピカの気持ちも痛いほどわかってしまう。くそう、オレはどっちの味方をすればいいんだ…!!
ピロピロピロ
緊迫する空気を壊すように携帯が鳴っている。音の出所はキルアのポケットからだ。
「悪いゴン。オレの代わりに出てくれないか?」
「あ、うん」
キルアに手渡された携帯を耳に当て通話ボタンを押す。
「もしもしキルア?アイについて言い忘れてた事があって」
「アイに関する情報!?」
「なんだゴンか。オレはキルアと話したかったんだけど」
通話相手がイルミだろうと今はそんな事どうだっていい。この状況を打破できるような情報なら少しでも欲しい!!急かせばイルミは隠す事なく大きめの舌打ちをした。
「キルアの声を聞きたかったんだけどまあ仕方ない。ゴン、一度しか言わないからよく聞け。アイは幻影旅団のメンバーじゃない」
「え!旅団の死体にアイさんはあったじゃないか!!」
「キンキン声を出すなよ。理由は不明だがアイは一時的に旅団のメンバーに加わっているだけで、正式なメンバーじゃない。そもそもオレがアイを旅団に入れるわけないだろ?少しは頭を動かしなよ。じゃキルアにそれ伝えといて」
一方的に電話が切れたけど欲しい情報は手に入った。イルミの話が事実なら突破口になるかもしれない!!
「兄貴はなんて?」
「実は…」
イルミから伝えられた内容を話すと、今にも壊れそうな空気が多少揺らぐ。キルアも一安心したのか汗が引いたみたいでよかった。オレも一安心したかったけど、レオリオに宥められるクラピカに再び緊張感が走る。
「だからよぉ!アイさんは旅団じゃないから抹殺対象じゃねぇだろ!!」
「…彼女には私の過去を話してある。それを知っててあの人は旅団にいるんだぞ?」
怒りを滲ませたクラピカの意見にレオリオが罰が悪そうな顔を浮かべた。言われてみればアイさんも緋の目を知っているよね。
あれ?じゃあ、なんで。
「一つ質問なんだけど…どうしてアイさんはクラピカに連絡しないのかな」
「どういう意味だ?」
「だってクラピカは旅団のメンバーであるウボォーギンってやつを殺してるんでしょ?一時的なメンバーだとしても仇討ちに来たりしないのかなって」
「確かに!鎖を使う念能力者が分からずともクラピカの過去を知ってりゃあ、仲間の記憶を読むやつに自身の記憶を読ませりゃそこで終わりだもんな」
納得したようなレオリオとは別にクラピカの顔は俄然として厳しい。ずっと黙っていたキルアがおずおずと口を開いた。
「記憶を読ませないじゃなくて読めないんだ。多分…忘れてる。アイはクラピカの過去を完全に忘れているんだと思う」
「え!?うそ!!」
「アイは興味がないなら徹底的に忘れる。ゴンも覚えがあるだろ」
キルアに指摘された通り過去を振り返る。言われてみれば天空闘技場でミトさんについて再度語っていた時。アイさんはジンの名前すら覚えていなかった。
ハンター試験中何度も語ったのに、だ。でも仲間の記憶なんて早々に忘れる筈がない…!!一縷の希望を込めてクラピカを見れば罪状を下す裁判長のように首を振った。
「…キルアの言う通りだ」
「クラピカ!アイさんはそんな人じゃ!」
「じゃあこの現実はどういう意味だ!?彼女は私の過去を忘れ旅団と共にいる!!これが答えだ!!」
「分かった…ならオレはクラピカの味方をする」
「…良いのか?私はアイを殺すぞ」
キルアの味方につく発言にクラピカもレオリオもオレですら目を剥いてしまう。大切にしているお姉さんなのにキルアはそれでいいの?オレと同じく疑心暗鬼になっているクラピカに向けてキルアはにんまりと笑みを向けた。
「させねーよ。クラピカが殺す前にオレが先にアイを捕まえてイルミに引き渡す。イルミの言い分からして恐らく親父達もアイの件は把握済みだ。確実に当分は家から出られない、それはアイにとって一番の苦痛だ。頼むよクラピカ、この作戦ならお前は仲間を殺さずにすむ」
「………」
キルアの訴えにも似た作戦にクラピカはしばらく黙り込んだ。握りしめていた拳を開いては閉じてを何度も繰り返す行為は、心の内に秘めた葛藤を吐き出すかのよう。伏せていた顔を上げたクラピカは親とはぐれた子供のように幼かった。
「……わかった。キルア、お前の案に従おう」